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アタリ 720°をプレイ

米アタリ社のゲームは個性的かつ独創的な物が数多くありました。その中にはもちろん
特殊操作系を採用したゲームもあります。今回はその中でも”回転レバー”を採用した
ゲーム、720°を起動させます。ここで、720°がどの様なゲームかと申しますと、スケ
ボーに乗った少年を前述の回転レバーで操作し、トリックプレイを決めると言うもの。
スケボーの動きと何か遠心力を感じさせる回転レバーの操作感が見事にマッチしていま
す。プレイには回転レバー付のパネルが必須です。そこでパネルの準備から入ります。


■ 回転レバーのメンテナンス

回転レバーとは、常に外周をぐるぐる回る仕様のレバーで直立等はしない構造です。
このゲームの為に開発された専用品と思われます。パネルにこのレバーを取り付ける
わけですが、古い事もあり結構消耗していましたので、分解整備を行う事にしました。
下の写真が回転レバーです。大きなスリット板2枚が同時に回転する構造です。一枚は
一般的なスリット穴がたくさん開いたタイプで、もう一枚は一部分のみスリットが入った
タイプの2重構造。下の写真中はレバーを上から見たところ。中心にボール状の自在
ジョイントが見えますが、この部分を支点に本体の側面に接して回転します。常に接触
して回転している為か、ローラーと本体の側面の両方が磨り減っています。しかも良く
見るとローラーが極限まで磨り減り、ローラーを止めるEリングが本体の側面を削って
います。この部分の作り直しは必須。下の写真右はレバーの先端。元から付いていた
握り玉は破損していたので取りました。軸の先端を見ると、現在一般的なねじ込み式
では無く、本来は打ち込み式だった様です。

回転レバー整備前


センサー基板。フォトインタラプタ(センサー)は一つのボディに2回路入りの物を2つ使用。

回転レバー用センサー基板


早速分解に入ります。チェーンの付いている板金は六角ボルトで止まっているのですが、合
うサイズのレンチがありません。ネジは全てインチネジなのでインチサイズのレンチセットを
用意したのですが、それでも合う物が見つかりませんでした。サイズ的にはミリで言うところ
の3ミリと4ミリの中間サイズぐらいです。仕方なくトルクスドライバーのT20を代用して緩めま
した。下の写真中がネジを外して開いたところ。樹脂の粉が散らばっています。思ったより
状態はいい方だと思う。下の写真右は分解して洗浄したところ。サビた軸もサンドペーパー
→バフで磨きまくって綺麗にしています。ただし外側の見える部分だけですが。

回転レバー分解


サビた軸はとりあえず磨いて綺麗にしましたが、その内またサビてきます。そこでメッキを
かけてサビにくくします。メッキの種類はニッケルメッキ。これだと家庭で簡単に出来ます。
ずっと以前に作ったメッキ液(古くなって濁っている)がありましたので、そのまま利用。とり
あえずメッキ中に泡が出たので、メッキは行われている模様。

レバー軸ニッケルメッキ


ここで磨り減ったローラーを作ります。材質はジュラコン。黒いのがあると良かったのですが、
無いので白で代用。ローラーはあらかじめテーパーを付けておき、接触面積を広くとります。
組み付け時はシリコングリスをたっぷり塗っておきます。ワイパー付メガネでも書きましたが、
プラ製品に鉱物油系のグリスを塗ると樹脂が侵されボロボロになる事があるので、グリスは
絶対に樹脂を侵さないシリコングリスを使うのがポイント。CRC等を吹いては絶対にダメ!

回転ローラー製作、組み付け


次はスリット板。2枚ある内、外側に付いている方のスリット板の一部が欠落していました。
曲がる→直す、を繰り返す内に折れたのか、動作的に不具合が出て、わざと切り取ったの
かは不明。一応直しておいて後で動作確認をします。修理は厚さ0.1mmの粘着付ステンレ
スシートを折り曲げて加工、貼り付け。

スリット板修繕


最後に黒いPPシートを丸く切り出してレバー上部の蓋にします。握り玉は普通のネジ止め
の物をφ9.5mmのドリルで穴を広げ、エポキシ接着剤を付けて打ち込んで取り付け。そして
センサー基板を取り付けてついにレバーのメンテが完了!

回転レバーメンテ完了


■ パネルの製作

主催者は過去に同じアタリ社のツービンと言う川下りのゲームを持っていました。これの
操作系はレバー無しの5ボタンのみと言う物です。そこでボタンだけならと言う事で一般
的なパネル(レバーとボタン)に無理やり割り振ってプレイしてみましたが、やはりかなり
無理がありました。ゲームを100%楽しみたいなら、やはりオリジナルと同様のパーツ配
置が重要だと痛感しました。720°の場合は特殊レバーと2ボタン(ただし左右にあるの
で計4つ)なので、オリジナルの配置寸法にそれほど拘らなくてもプレイに支障は無いと
思われます。そこで当初はいつも作っている自作パネルの寸法で製作しようと思ってい
たのですが、回転レバーはパネル下の奥行きが長く、いつもの小さいパネルでは不安定
な形状になって無理があります。そこでどうせある程度の大きさにする必要があるならば
ほぼオリジナルに沿ったサイズで製作する事にしました。

オリジナルのサイズで製作するとなると、表面に貼る化粧パネルはどうするか考えます。
そこでこの際、化粧パネルもオリジナルそっくりにします。当初、ネットで流用出来そう
な画像を拾ってきて使える様に修正→プリンタで印刷、貼り付ければいいだろうと思って
いたのですが甘かった。ネットで画像を拾っては見たものの、主催者の持っているソフト
で加工すると画像サイズが非常に小さくなり、実物のサイズに拡大するとドットが荒くて
使い物になりません。そこで大きなサイズのまま加工できるソフトを買おうかとも思った
のですが、よく考えたらプリンタの印刷能力もA4しかなく、分割して印刷するしか方法が
無いのでした。と言う事は最初から画像を分割して加工すれば小さいサイズでも何とか
なりそうな気がします。そうして出来たのが下の写真。4分割なので加工の手間も4倍掛
かっています。写真ではよく分からないのですが4分割してもまだ画像は荒いです。

パネル用シート印刷一発目


上の写真は最初に印刷した物ですが、実物大より小さかった。それに上下左右の画像の
繋ぎ目もズレています。一枚絵で加工すればこの様な事は無いのですが。なお、細かい
部分を見ると、下の写真右の”ATARI GAMES”の文字の部分のデザインもやや異なり
ます。この辺は単なる修正不足なだけなのですが、ドットも荒いしもうこのまま行きます。

印刷のズレ


次に全体の画像サイズをほぼ実物大に拡大、更にズレた部分の画像サイズを修正して
再度印刷して見たのが下の写真。チェッカーのイラスト部分はほぼ合いましたが、それ
以外の図柄のズレは何も改善されません。

パネル用シートまだズレている


よく考えたら、いくら画像のピクセルを調整しても、プリンター側で収まる様に勝手に調整
されてしまうので出てきた印刷物は変化が無いのだった。プリンターなど滅多に使わんか
ら気づかなかった。そこでA4の最大幅が自動調整される事を念頭に置いて加工したら、
ほぼ合致させる事が出来ました。写真中がその画像。 ほぼ合致しています。ついでにドッ
トの荒さも確認できます。プリントアウトした4枚の印刷物ですが、その後はまず裏からメ
ンディングテープで貼り合わせます。しかしいくら上手く貼り合せても、継ぎ目で紙の断面
が白い線となって見える事があります。その場合は断面に良く似た色の色鉛筆で色を入れ
ます。これは雑誌綴じ込みのポスターの折れ線を分からなくするのに昔使った方法です。

パネル用シート修正完了

4枚の貼り合わせがうまくいきましたら、表面にクリアラッカーを吹き付けます。その後透明
のカッティングシートを貼り、表面を保護します。クリアラッカーを吹く理由は、ラッカー塗装
で表面を固める事により、カッティングシートを貼る時に、もしゴミが入っても少しなら戻して
貼り直す事が可能になるのと、完成後に紙が水分を吸って印刷が滲むのを防止出来る為。
カッティングシートを貼った後はレバー、ボタンの穴をカッターナイフで開けてシートが完成。

パネル用シート完成


パネルシートが出来たのでそれを貼り付けるパネル鉄板を作ります。1.2mm厚の丁度使え
そうな鉄板がありましたので、それを角パイプ2本で挟んでCクランプで固定、それに当て木
を当ててハンマーでガンガン叩いて曲げます。曲げ加工が終わったら穴あけですが、ボタン
穴は細いドリルでケガキの淵に沿って開けた後、ステップドリルで仕上げ。レバー穴はまず
同じ様に細いドリルで開けた後、ヤスリで仕上げます。超アナログ手加工、う〜む疲れた。

パネル鉄板加工


鉄板の次はケースの製作。木材を買ってきて切り出したのだが・・・。買う寸法を間違えた。
本物の筐体のパネル面が斜めなので、それに習って傾斜させたのですが、結果高さが足り
なくなってしまった。仕方が無いので切り取った部分を反対側に接いで本来の寸法にします。
後は現物合わせで調整しながら木材を加工、鉄板をセットして様子を見ます。
予想はしていたが・・・。かなりでかい。作例では横幅442mm、奥行き371mm。高さ230mm。

ケース製作


その後パネル鉄板前面に固定用のベロを付けて、ケースにネジで固定出来る様にします。
これで加工は終わりなので、ケース外側と鉄板を黒く塗装、ケースのサイドに銀色の化粧
シートを貼り付け、パネル面にも上で製作したシートを貼り付けます。下の写真右はコイン
ボタン。パネル前面に付けます。一応筐体風のイメージを狙いましたが、割と適当な加工。

ケース組み付け


パネルが出来ました。オリジナルに似せて作ったのですが、結構違う部分があります。
本物はケースの淵にプラ製のモールが付きます。当初はモールを付ける予定でしたが、
最近はホームセンターに売っていないのです。取り寄せは可能ですが、色が白しか無い
ので今回はやめた(本来黒が使われている)。それから握り玉はφ35mmを付けたので
すが、サイズがやや小さい。φ40〜45mmぐらいが妥当か?後、ボタンスイッチは本来
リーフスイッチと言うタイプの物が付くのですが、国内では出回っておらず見送り。リーフ
スイッチとは、リレー接点そのままの形式のスイッチで、昔使われていました。現在使わ
れないのは、保守時の扱いにくさとか、操作感の好みの変化と思われます。ちなみに古
いパチスロのジャンク(0号機)を昔見た事があるのですが、停止ボタンがリーフスイッチ
でした。このあたりはセキュリティ問題もありそうです。なお、シンプルで大電流に対応で
き、ショックにも強そうですから、ピンボールマシンとかカセットデッキには良く使われて
います。下の写真左がモール(昔使った残り)。右がリーフスイッチの例。2つ見えます。

未再現な部分


下が完成写真。パネルの化粧シートの継ぎ目はほぼ分かりません。しかし表面に透明の
カッティングシートを貼ったおかげで印刷のコントラストが落ちてややぼやけた印象に。

回転レバー付きパネル完成


■


ここで一度動作確認をして見ます。回転レバーのスリット板の動作確認も必要ですし。
結果スリット板の動作は問題なし。レバーが12時の位置をニュートラルにしてあります。
次にモニターですが、この基板(アタリシステム2)の映像出力は24khz。31khzの液晶
モニターにアップスキャンして映るか確認して見ました。結果はXRGB1とか、モニター
に組み込んだ変換基板では全滅。aitendo製のドライブ基板を組み込んだ、自作モニ
ターは映りました。つくづくaitendoのこのドライブ基板は優秀だったんだなと思う・・・。

パネル動作確認


■ 基板を折りたたんで動作させる

前回の更新でゲーム基板の収納を取り上げましたが、アタリ720°はその企画に真っ向
から反抗する基板です。2枚構成なのですが、重ねるのでは無くなんと直列接続。昔から
”でかいよこの基板は”と、まことしやかに言われていたのですが、本当にどうにもならん
サイズです。そこでこの基板を2つ折で動作出来る様にしてみます。

720°基板


要は接続部のコネクタを折り返すだけなのですが、一般的なフラットケーブルコネクタ
では無く、カードコネクタとエッジコネクタになっています。それもピッチが2.54mmの物。
そこで2.54mmのコネクタを探しますと、ヒロセのカタログに該当の物があります。早速
問い合わせをしてみましたが、メーカー自身が在庫を持っていないとの事。う〜む買え
るかどうか微妙なところです。うなっていてもしょうがないので、手元に使えそうなコネク
タが無いか探したところ、使えそうなコネクタの候補が3つ出てきました。初代ファミコン
のコネクタ、スーパーファミコンのコネクタ、ネオジオ(MVS)のコネクタです。

ファミコンとスーファミはピン数が足らないので継ぎ足さなくてはなりません。ネオジオは
逆にピン数が余ります。ピッチを調べるとファミコンとMVSはピッタリ。スーファミは僅か
に狭い様です。下の写真左から、ファミコン、スーファミ、MVSです。スーファミは拡大写
真なのですが、20ピンぐらい移動すると写真の通りズレています。となると、ファミコンか
MVSになりますが、MVSは部品取り出来る物が無いので初代ファミコンのジャンクから
コネクタを拝借、2連結で製作する事にします。

エッジコネクタ比較


一方、カードコネクタの方ですが、こちらは使えそうなカードコネクタ付き基板を買うか
この際エッチングして作るか、と思っていたのですが、ジャンク箱の中を探したところ
使える物が一つありましたのでそのまま流用します。

下の写真はファミコンのコネクタをノコギリで切断、基板に挿してみたところ。コネクタ
は、後でスルーホール基板に半田付けして一本物として使いますが、真ん中の落ち
込みを防ぐ為に、プラ製のゲタを製作して中央に取り付けます。

エッジコネクタ2連結で製作


ここで基板を折り返してコネクタをどの様にするか見てみる事にします。すると・・・。
基板が思いっきり反っております。今までこれで動作してきた基板なので問題無いので
しょうがこれは気に入らん!つーか半田付けの時反り防止しないのかよっ。と言いたい。
2つ折にすると下の基板と当たりそうな気もしますので、この際直しておきます。修正の
結果コネクタはピッタリ付きましたが、基板はまだ若干反っています。真っ直ぐにする事
も可能と思いますが、あまりこだわって基板を傷めては元も子も無いので、これで妥協。

基板の反りを修正


元々大きい基板で、しっかり固定できる穴も都合のいい場所にある訳ではありません
から、アルミアングルを取り付けて安定させ、そこからスペーサーを立てて固定します。
アルミアングルが被る場所にもパターンが走っているので、ビニルテープで保護します。
基板に穴を開ける事は絶対にせず、いつでもオリジナルに戻せる事が肝心なのです。

2つ折で固定が出来たのでコネクタの製作を行います。まだファミコン2連結コネクタを
取り付けるスルーホール基板を入手していないのですが、とりあえず仮で配線を行って
動作可能にします。

基板2つ折パーツ


出来ました。これでプレイ時も収納時も扱いやすくなりました。

基板2つ折完了


液晶でプレイ環境を構築すると、下の写真の様になりました。モニターが少しさびしいです
なあ。24khz対応のブラウン管ゲームラックが欲しいかも。作っても置く場所が無いけど。

ゲームプレイ!




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