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ゲーム基板用センサー図鑑

アーケードゲームの入力デバイスの一つにセンサーコントローラーがあります。ここで言う
センサーコントローラーとは、内部にコの字型のフォトインタラプタがあり、中央をスリット板
が回転すると言う構造の物です。代表例はブロック崩しに使用されるパドルコントローラー。
また、装置の外観は違いますがトラックボールも内部は同じフォトインタラプタとスリット板。
ただしこちらはX、Yの2軸入っています。センサー系のコントローラーで問題なのは、ゲー
ム基板によって使えたり使えなかったりする事。アーケードゲームの操作系は標準的な物
ならば違うゲームでも使用できる事が多い(レバー、ボタン、アナログレバー等)ですが、
センサー系はやや特殊とはいえ、以前は準標準と言っていいほど良く見かけた操作系で
した。にもかかわらず使えるゲームが限られていると言う事は、センサー基板の出力部が
異なる為です。そこで今回は色々なセンサー基板を調査してみました。

パドルコントローラー


■ 東亜プラン ゴークス用センサー基板

まずは東亜プランのブロック崩し、ゴークス用から。なぜゴークス用を最初に取り上げたか
と申しますと、以前は最も入手しやすいパドルがこれでした。センサー使用のゲーム基板を
買うと、何を買ってもコレが付いてきました。アルカノイドを買ってもゴークス用、キャメルト
ライを買ってもゴークス用、カプコン ロストワールドを買ってもゴークス用が付属。気が付く
と部屋がゴークスパドルだらけ。そんな訳で改造したり部品取りしたりで扱いもぞんざいに。
殆ど見かけなくなった今から考えると、なんかもったいない事をしたもんです。

ゴークス用センサー基板 回路図


このパドルは無信号時0V、5Vの時信号として出力。つまりHiアクティブ。問題は無信号時に
基板側の電圧を0Vにするプルダウン抵抗がセンサー基板に付いていない事。ゲーム基板
側でプルダウンする仕様の様だ。これが原因で動かないゲーム基板があります。ちなみに
センサー基板には抵抗取り付け用のパターンはありますので、必要に応じて取付けは出来
ます。もし、抵抗を付けるのなら、2.2k〜10kΩの範囲で具合がいいのを付ければいいで
しょう。上の写真では左側がノーマル、右側は4.7kΩのプルダウン抵抗を付けています。


■ タイトー アルカノイド用 センサー基板

次はアルカノイド用。オークション等で今となってはこちらの方が見る事が多いです。上の
ゴークス用の基板は最小限の部品構成ですが、こちらはトランジスタによるバッファも
載っており、豪華。

アルカノイド用センサー基板 回路図


このパドルもゴークス用と同じHiアクティブ。バッファが載っている事で使える基板が増える
とか、ゲーム基板に流れる電流のON/OFFはトランジスタが行うので、フォトインタラプタの
負担の軽減になると思われます。プルダウン抵抗が低い(470Ω)のでノイズに強く、かつ
強力にドライブできる様です。中間に入っている抵抗(2.2kΩ)はパドルのロットにより抵抗
2本で2.2kΩにしてある(後から修正した?)のと、最初から2.2kΩ一本の物があります。


■ カネコ NOVA用 センサー基板

こちらはカネコNOVAシステムのゲーム、サルかにハムぞうに付いてきた物。実はこの
パドルは業務用ゲームパーツのメーカー、セイミツ工業で同じ物が数年前まで入手可能
でした。残念ながら現在では在庫が無くなり、入手は不可能になっています。このパドル
の基板は当初はベーク製でしたが、いかんせん脆弱でコネクタの抜き挿し時にセンサー
基板が2つに折れたり、コネクタ部のパターンが剥がれたりしました。その為か末期には
基板の材質がベークからガラスエポキシに変わっていました。現在中古で出てくる物は
ベーク製の物が多く、しかも折れたりしてダメージがある事も多いです。

NOVA用センサー基板 回路図


このパドルはLoアクティブ。2.2kΩの抵抗で+5Vに吊っている為です。従ってゲーム基板
側でパドル入力部をGNDに落としている物(Hiアクティブ)は誤動作を起こす可能性があり
ます。使われているフォトインタラプタは5本足の物。普通は4本足です。5本足の理由は、
赤外線LED用が2本、フォトダイオードの電源と出力で3本、合計5本です。フォトダイオード
がバッファ内蔵のタイプなので3本足と聞いた事があります。


■ セガ ギガス用 センサー基板

こちらはセガのブロック崩しギガスに使われていた物。使われているフォトインタラプタ
がこれまた特殊。特殊と言いましても、ワンパッケージに2つの出力部が入っているだけ
なのですが。

ギガス用センサー基板 回路図


このパドルはLoアクティブ。先ほどのNOVA用フォトインタラプタは5本足ですが、これは
6本足。赤外線LEDが2本とフォトダイオードが2回路分で4本足の為。なお、セガのギガ
スの他に、OEM(ブランド違い)で日本システムのオメガと言うゲームがあるのですが、
こちらも同じパドルを使用。違いと言えば、ギガス用はノブの表面にSEGAと入っていま
すが、オメガ用は無記名なぐらい。


■ カプコン ブロックブロック用 センサー基板

こちらはカプコンのブロックブロックに使われていた物。パドルメカはカネコNOVAと
同じ物を使用。しかしながらセンサー基板は違うわけで興味深いところ。

ブロックブロック用センサー基板 回路図


こちらはHiアクティブ。抵抗は表面実装(チップタイプ)が使われています。330Ωの
抵抗がパラになっていて、実際は165Ω。これはW数を稼ぐ為でしょう。


■ アタリ 720°用 センサー基板

これはアタリ720°のセンサー基板。使われているフォトインタラプタはやっぱり特殊。
一つのパッケージに2つのフォトインタラプタが入っています。これの利点としては、
2つのピッチが固定で調整がいらない事でしょうか。更に一枚の基板に同じ回路が2
台載っていますので、フォトインタラプタは合計4つ付いている事になります。

720°用センサー基板 回路図


こちらはセンサー部はHiアクティブですが、出力部にインバーターが付いていますから、
繋がる回路はどちらでもOK。2つの赤外線LEDを直列で点灯。その為、回路図も2回路
分記載しています。出力部にはインバーターICが、電源部には電解コンデンサとサージ
吸収素子まで装備。丁寧と言うか、手が込んでいます。インバーター内蔵なので、これで
アルカノイドとかカプコン ロストワールドもプレイできるね。(そんなヤツはおらんか)


■ セタ CAL.50用 センサー基板

パドルでは無いのですが、レバーの末尾にセンサーとスリット板が付いています。以前
取り上げた、センサー式ループレバーと言うやつです。

CAL.50用センサー基板 回路図


こちらはLoアクティブ。この基板も2つのフォトインタラプタの赤外線LEDが直列に
なっています。そのため回路図も2回路分記載しています。


■ カプコン ロストワールド用 センサー基板

こちらはカプコン ロストワールド(ローリングスイッチ)のセンサー基板。ローリング
スイッチを一言で言うと、プッシュ操作の出来るパドル。これも過去に取り上げています。

ロストワールド用センサー基板 回路図


出力はLoアクティブ。この回路を良く見ると、同じカプコンのブロックブロック用と
そっくり。ただし、あちらはHiアクティブ。う〜むなんでこうバラエティがあるのか・・・。


トラックボール用センサー基板


■ セガ ソニック・ザ・ヘッジホッグ用 センサー基板

最も良く出回ったと思われる、セガのトラックボールの基板。実際は一つのトラック
ボールに同じ基板が2つ付いています。それでX方向、Y方向の回転を検出します。

ソニック用センサー基板 回路図


この基板はLoアクティブ。表題ではソニック用になっていますが、SDIとか、ウォーリーを
探せとかも同じトラックボールです。さすがセガ!商品数が多いだけに統一されています。


■ タイトー サイバリオン用 センサー基板

タイトー製のトラックボール。ボールの直径は先のセガのよりやや大きめ。

サイバリオン用センサー基板 回路図


センサー基板の回路は、最初に紹介したゴークス用と全く同じ。コネクタのタイプが異な
るだけ。プルダウン抵抗用のパターンも見えます。トラックボールはセタのUSクラシック
(ゴルフゲーム)でも使用されています。


■ テクモ ワールドカップ用 センサー基板

テクモ(テーカン)製のトラックボールです。これは先のタイトー用より、もう一つボールの
サイズが大きめ。ボールが半透明な為、下からライトアップする事も可能です。もし、新た
にトラックボールを買うとなると、何かボールが大きい方がお得な感じがします。しかし!
それは間違いです。大きいほどクイックな操作が大変になり、本当に汗だくになります。

ワールドカップ用センサー基板 回路図


このトラックボールはLo有効。トランジスタによるバッファ付き、更に表示LEDも付いて
います。もしかしたら、LEDがゲーム基板に流れる電流調整も兼ねているのかも知れま
せんが、現在対応ゲーム(テーカン ワールドカップ)を持っていないので不明です。


■ インクレディブルテクノロジー ワールドクラスボウリング用 センサー基板

次は海外製ボウリングゲーム、ワールドクラスボウリングのセンサー基板。普通トラック
ボールは内部のセンサーが横と縦(X、Y)の方向になる様にセットしますが、このゲーム
ではハの字型にセットします。ボールの直進性が重視されるゲームですから、この方が
バランスがいい為と思われます。

W.C.ボウリング用センサー基板 回路図


この基板も赤外線LEDは直列。そして出力部にインバーター搭載。海外製のはこれ以外
にもHAPPコントロールズのを見たこともあるのですが、やはり同じ様にLED直列、インバ
ーター搭載でした。海外ではインバーター搭載が標準っぽい。これはいい事なのですが。



■ センサー基板の修理



パドルを買ったけど動かん!とか配線を間違えて壊した、と言う時はセンサー基板の修理
になります。修理は殆どの場合フォトインタラプタの交換です。フォトインタラプタは赤外線
LEDとそれを受けるフォトダイオードの組み合わせです。以前違うコーナーファービーを修理
で書きましたが、フォトインタラプタのLEDは多めの電流が流されており、消耗も激しいです。
また、受光側(フォトダイオード)も電流の流しすぎで劣化している場合があります。下の写真
は同じ物ですが、膨らんでいる方は壊れています。中古(取外し品)を使う場合は、フォトダイ
オードからの出力電圧をチェックして、出力電圧が低くなってる物は使わない方が無難。

壊れたフォトインタラプタ


そこで交換用フォトインタラプタの入手ですが、電気的にはどれでもいい感じです。片側が
赤外LED、もう片方がフォトダイオードで両方共極性がある部品なのですが、どのメーカー
のフォトインタラプタでもみんな同じ方向に揃えられています。定格もほぼ同じで気にする事
は無さそうです。となると、入手時注意する点は外形サイズになります。特に注意する点は
フォトダイオードの受光窓のサイズ。受光窓はスリット状の細長い形状なのですが、この幅
は必ず0.5mmの物を使う事。これより広いと回転方向の認識調整が難しくなります。

窓は0.5mmの物を使う


上記カネコやセガのパドルは特殊なフォトインタラプタが使われています。これらの入手は
難しいのでセンサー交換は諦め、センサー基板自体をそっくり作ってしまいます。センサー
基板なんて上の回路図にある様にシンプルな物ですからね。言い換えれば良いメカ部さえ
入手出来ればパドルなんてすぐに作れる、とも言えます。下の写真がフォトインタラプタが
壊れたセガのパドルに自作の基板を乗っけた物。

自作基板で復活


センサー基板を自作する場合、回路は好きな物を選ぶ(オリジナルに合わせる)でいいの
ですが、ここはひとつ、色んな基板にそのまま対応するオールマイティパドルにして見るの
もいいと思います。やり方は海外の基板にあった様にセンサー出力の後に74HC14を付け
るだけ。これでHi有効の時は吐き出し、LO有効の時は吸い込んでくれます。下の作例では
出力コネクタはタイトーアルカノイド仕様、インバーターICは小型ワンゲートタイプの7S14を
取付けてスマートにしていますが、普通のDIPタイプでOKです。ワンゲートタイプは価格も
高いし、小さすぎて扱いにくい上、足も折れ易いです。(折れたら即廃棄)なお、インバー
ターを付けない場合はそのままスルー(2.2kΩの抵抗からコネクタのSへ接続)でOKです。

オールマイティパドル基板


と、ここでまた思い付きました。わざわざセンサー基板を作らなくても、特殊なフォトインタ
ラプタを普通のに置き換えればいいのでは?今まで壊れたセンサー基板と言えば、NOVA
パドルの基板折れとパターン剥がればかりで、要は基板ボード自体がダメでしたから、そう
言う考えが思い浮かばなかった。幸い壊れたセガパドルのオリジナル基板は、フォトインタ
ラプタを引っこ抜いた状態でまだ捨てずにありましたので、早速トライします。まずは従来の
フォトインタラプタの横に追加の穴を開けます。位置は目分量(適当)。

ここで気になるのが、フォトインタラプタの形状が異なると、スリット板との位置も変わる事で
すが、あまりシビアではなく、受光窓が0.5mmのフォトインタラプタさえ使えばまず問題ありま
せん。何より同じサイズのスリット板使用の他社のパドルがこの様な位置関係ですからね。

普通のフォトインタラプタを取り付け


穴が開いたらそこに普通のフォトインタラプタをセット。このパドルの場合、赤外線LEDと
フォトダイオードの片側はGNDに接続なのですが、すぐ近くにパターンがあったので助か
った、と思いきやセンサー出力まですぐ傍にパターンが。赤外線LEDに追加の抵抗を付
けるだけですぐに完了してしまった。この後アルカノイドで動作確認。先の自作基板の方
がインバーターが付いている分性能はいいが、せっかくなのでこのまま行こう。

セガパドルを復活


ここで気付かれた方がいるかもしれません。ギガスパドルはLoアクティブ、アルカノイド
基板はHiアクティブなのです。しかしながらこれで問題なく動いています。パドル入力部
の電圧を調べると、Hiの時約3.6V、Loの時1.6Vでした。ロジックICのHiとLoのしきい値
はクリアしているので動いたのです。そうなった原因ですが、アルカノイド基板のプルダ
ウン抵抗は4.7kΩでした。それに対しギガスパドルのプルアップ抵抗は1.8kΩでした。
要はこの組み合わせが好結果をもたらした感じです。この様に上手く動く場合もあるの
ですが、完璧な動作を期待する場合は、やはりインバーターを付けた方がいいですね。

そこで参考までに、ゲーム基板側のセンサー信号タイプをまとめたのが下の表です。

Hiアクティブ Loアクティブ
ゴークス
アルカノイド
ブロックブロック
フリーキック
プランプポップ
ゴインドル
720°
サイバリオン
USクラシック
コンバットスクール
サルかにハムぞう
ギガス
オメガ
サイクルマー坊
CAL.50
ロストワールド
ソニック・ザ・ヘッジホッグ
SDI
ウォーリーを探せ
ワールドカップ
ワールドクラスボウリング
バーチャボウリング


HiだのLoだのありますが、今回の例にある様に組み合わせによっては使える場合がありま
すし、ゲーム基板もロットにより回路が異なるかも知れませんから、一概には言えない部分
でもあります。本来の様にゲームを起動するたびに専用パネルを準備すればいいのですが、
実際大変ですし、今となっては入手も難しいです。結局のところ、インバーター付きのパドル
とトラックボールをそれぞれ用意しておくのが一番有用です。それで全部動くはずですから
ね。まあ配線はその都度し直さなくてはなりませんが。



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