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新アップスキャンの表示テスト

主催者は新しくアップスキャンコンバーターを入手しました。ゲーム基板対応と謳われている商品
です。アップスキャンが必要なのは映像信号が15khzの映像信号を現代の液晶モニターに映す場
合ですが、ゲーム基板の場合は映像信号が結構難物な為、ゲームごとに上手く映る物を取り替え
て使っているのが現状です。もし一台のアップスキャンコンバーターで対応出来れば取替えの手間
が省けてゲームの変更がラクです。この商品はゲーム基板に広く対応と謳っているので、これは
期待出来そうです。

下の写真で左に映っているのが今回入手したアップスキャンコンバーター。右に並んでいるのは
以前紹介した中華製アップスキャンボードです。今回のはかなりコンパクトです。




商品には取説の類が一切付いていませんし、販売元でもノーサポートと書かれています。以前
買った中華製には日本語の取説が付いていましたから、この部分では中華製の方が勝っていま
す。とりあえず、まずは入手した基板を良く観察して見ます。すると、基板の端にカッターナイフ
か何かで削り取った痕があります。「オイオイ傷物やん」と思いましたが念のため販売元の画像
を確認するとこちらも削った写真になっています。どうやら全部こう言う仕様らしい。ではなぜ削
り取ったかなのですが、製造/販売元を隠すか、本来の用途(型番)を隠すとかそんな辺りでしょう。
これは大手メーカーが自社製品に対しても行うことがありますから、あまり気にしない事にしよう。




早速使ってみたいと思いますが、その前に接続ハーネスを作ります。用意するのは電源と映像
入力の部分。電源は+12VのDCジャックなので特に作らなくても他から持ってこれます。映像は
作らなくてはなりませんが、ハーネスが付いているので先にコネクタ(主催者の場合はDサブ15
ピン)を付けるだけです。そして早速映して見ましたが・・・。まるで映りません。最初はJAMMA
ハーネスの断線か?と思いましたが、そのまま中華製のに繋ぐと普通に映っています。それで
もしかしたら入力切替の問題とか?と思い、アップスキャンボードの設定ボタンを押しますが
何も変わらず。接続、使用法を確めようにも取説無し&ノーサポートだし。もしかしたら最初か
ら不具合品をつかんだのか、それとも知らん間に誤って壊したとか?と思い始めたのですが、
ここで試しにV-SYNCを外して見ます。すると・・・。何やら乱れた画像が映った。ちなみにゲーム
基板はファンタジーゾーン。うーむV-SYNCは繋いではいかん様です。




それで改めてアップスキャンボードの設定ボタンを押していると、その内まともに表示されました。
その内と言うのは、このボードには設定ボタンが7つ付いているのですが、それの内訳は「タイミン
グ調整」、「VGA、SVGA切替」、「H調整」、「V調整」、「オート調整」、となっているのですが、オート
調整が自動なのはいいとしてもタイミング調整まで自動。そしてこれはその時表示されている画像
で自動調整されるらしく、タイミングによってはバグッた状態に調整されます。これはタイミング調整
のボタンを何度か押している内にベストな画像がきますからそこで止める訳ですが、どの道、手動
でH、V調整は必要です。ゲームによっては妙な位置に表示され続けて中々ベストな画像が来ない
ので、タイミング調整ボタンを押し続ける作業を繰り返す事になります。不便と言えば不便です。

さて、画像が無事出たのでここで他のアップスキャンと比べて見ます。ファンタジーゾーンはどのア
ップスキャンボードでも上手く映りますので好都合です。まず色ですが、入力部に調整ボリュームが
付いているのですが最大でも色がやや薄い印象。しかもR、G、Bそれぞれを均一にしたところ赤み
が強いです。これは入力部のアンプ(バッファ)の特性でしょうか。それから画像のシャープさが劣
る印象です。

結果的にはXRGB-1が最も良く、次いで中華製、その次が今回購入の物でした。ううむ残念。なお、
ここで映すのは主催者がいつも使っている24インチの液晶モニターです。これ以外のモニターでは
異なる結果が出る可能性がありますし、アップスキャンボードのファームのバージョンとかもあるか
も知れません。(実際中華製は購入時期により、かなり差があった)なので参考程度にお願いします。

下の写真左はタイミング調整ボタンを押したところ。画面に映像情報が数秒表示されて最適な状態
に調整されます。しかしそれだけでは画像が上手く収まりませんから、H及びV調整でベストな状態
に調整します。写真中は手動調整したところ。画像は収まりましたが赤みが強いです。これは入力
信号調整用のR、G、B各ボリュームが全て最大の状態です。なので緑を少し、赤を1/3ぐらい絞る
必要があります。それが下の写真右。




■ R-TYPE

さて、ここでいよいよ難物基板での表示を実験します。まずはR-TYPE。これはXRGB-1の表示が
今ひとつな為、中華製アップスキャンで映しているゲームです。なので中華製と映りを比べて見ま
す。それで実際比べると、やっぱり画像のシャープさに欠ける。色も薄い(暗い)。シャープさに関し
ては、基板内部にシャープネス調整の部分があると思われますが、調整項目にはありませんから
これで固定です。あと色にムラがあります。う~む映りから言うと、完全に中華製の勝ちです。です
がR-TYPEに使えるのは確かですし、ゲームプレイにも問題はありません。

今回購入 中華製 今回購入 中華製
暗い、ピントが甘い
明るい、シャープ
色ムラがある
色ムラ無し



■ ドンキーコングⅡ

さて、次はドンキーコングⅡ。これは最初画像が震えっぱなしでしたが(下の写真左)調整でかな
り安定しました。しかし調整しても画面の端が曲がるのは修正出来ませんでした。そこで試しに
LM1881を通すと曲がりが無くなり、普通にプレイ出来る状態に。しかし僅かな揺れはまだありま
すし、青い線の下部に赤い色ムラもあります(下の写真中央)。そこで中華製に替えると僅かな揺
れは無くなりましたが、線の表示にビビリがあります(下の写真右から2番目)。そこで次にXRGB
-1に替えるとビビリが無くなって最も安定した画像に。やはりXRGB-1が一番か。これまた残念。

今回購入 起動直後 今回購入 調整後 今回購入 中華製 XRGB-1 4Pタイプ
揺れ多い(部分拡大)
LM1881無し
僅かに揺れ、色ムラ
線がビリビリ揺れる
綺麗に映る



■ サイバリオン

さてお次は24khzのサイバリオン。サイバリオンはXRGB-1はダメだし、中華製ではだんだん画面が
白っぽくなったりするので、24インチの液晶モニターでは映せませんでした。今回購入したアップス
キャンボードは24khz対応と謳われています。それで表示させると、割と綺麗に映った。ただ縦方向
に明暗の縞(モアレ)があり、更に文字列で赤い色の一部が抜けています。しかし今までプレイ出来
なかったものが出来る様になったので上々でしょう。


今回購入 今回購入 中華製
綺麗に映るがモアレがある
一部の色再現が悪い
白くなったりで不安定



■ ナイトスラッシャーズ

お次はデータイーストのナイトスラッシャーズ。今回はナイトスラッシャーズでテストしましたが、実は
データイーストのゲームはどれも同じ性質のビデオ信号らしく、どれか一つが映らなければ他のゲー
ムでも同じ結果です。それで最初に試した結果は・・・。ガーン!まさかのノーシグナル。しかしLM1881
をパスすると普通に映りました。だけどやっぱり画質は中華製の方が上です。

今回購入 LM1881付 今回購入 LM1881無し
LM1881があるとノーシグナル
LM1881無しだと映った



■ 熱血硬派くにおくん

その次は熱血硬派くにおくん。この基板は普通に映すとHサイズが極端に狭い映像信号です。中々の
難物と思われます。まず起動すると、最初に出た画像は半分以上がノイズ。そこで調整ボタンを押す
と、やたら画像が大きくなったりを繰り返したのですが、最終的にまずまずの表示に持ってけました。
そこから手動で位置、サイズを調整しますが・・・。どうにも上手く収まりません。上手く表示させる
調整法があるのかも知れませんが、今のところくにおくんには使えないですね。

今回購入 起動直後 今回購入 調整中 今回購入 調整後 中華製
何もスイッチ類に触っていない
サイズが大きくなっている
これが限度
綺麗に映る



■ ニブラー

さて次はニブラー。ニブラーも相当難物な信号と思います。これも粘り強く調整したところ表示範囲を
カバーしましたが、全体的に画像がブレます。う~む使えない。でもニブラーは中華製だと全く受け
付けずノーシグナルになってしまいますから映るだけマシか。結局この基板はXRGB-1(3Pタイプ)が
上手く映してくれました。同じXRGB-1でも4Pタイプだと画像の端が少し曲がって映ります。

今回購入 中華製 XRGB-1 3Pタイプ
映るが画面がブレる
ノーシグナル
綺麗に映る



■ 魚ポコ

魚ポコは今回テストした中では割りと新し目のゲームですが、XRGB-1では映りません。そこでこれも
映してみます。うむ。これは今回テストした中では最も素直に映りました。やっぱり新し目のゲームは
映像信号がそれほどヘンでは無い様です。

今回購入 中華製
綺麗に映る
綺麗に映る



■ エンゼルキッズ

次はセガのエンゼルキッズ。これもXRGB-1では映りません。これもかなりクセのあるビデオ信号と言う
のは薄々分かります。これが映ってくれるとかなり嬉しいのですが。で、結果としては映りましたが調整
にかなり手間取りました。タイミング調整ボタンを押すだけでは、いつまで経っても画面内に画像が収ま
りません。そこで5Vの電圧を少しずつ上げて調整ボタンを押す、を繰り返したところ、ようやくまずまず
の位置に収まりました。これももっと能率のいい調整法があるのかも知れません。そこから手動で位置
及びサイズを調整して何とか下の写真左の表示に持ってけました。しかし画面はノイズが多く、しかも
等間隔に線が入ります。う~む今一つ。映っただけマシだが・・・。

今回購入 中華製 今回購入 中華製
横線が入る
綺麗に映る
部分拡大
綺麗に映る



■ アタリ720°

さて次はアタリ720°これもサイバリオンと同じ24khz。従って24インチのモニターでは映らなかったゲーム。
これも起動直後出たのは下の写真左の様なノイズ画面。それでなんやアカンやん?と思いながらタイミング
調整のボタンを押しますが大して変わりません。そこで次にオート調整を押したところ一発で正常表示に。
いや~よかった。しかもこちらはサイバリオンと違い、モアレ無くキレイに映ります。余りにキレイに映ったの
で試しに中華製でも今一度映して見ます。結果は映った・・様な気がしましたが最初だけ。一回画像を取り込
んだらそのまま固まっています。

今回購入 起動直後 今回購入 オート調整後 中華製
ノイズのみ
綺麗に映った
バグって固まる



色々映した結果としては、このアップスキャンコンバーターはかなりの広対応です。ただこれ一つで
全てOKと言う訳には行かず、最良の結果を求めるのならば、その都度最適なコンバーターを選択する
必要があります。画質で言うならば本機より中華製、中華製よりXRGB-1の方がキレイでした。しかし
対応基板の多さの点では本機は最も多くのゲーム基板に対応しました。なお表示画像が乱れる件です
が、ゲーム基板に供給する5Vの電圧を調整すると良くなる場合があります。これはゲーム基板からの
映像信号レベルが安定するためと思われますので、他のアップスキャンコンバーター使用の場合でも
同様の効果が考えられます。どちらにしろ、もっと追い込める可能性がある訳です。当初の目論見で
は、コレさえあれば他のは要らないのでは?と期待していたのですが、さすがにそれは甘かった。で、
このアップスキャンボードの利点ですが、やっぱ24khzが使えること。現在メインで使用している24
インチ液晶に24khzを映す場合に活躍してくれそうです。



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