ループレバー
ループレバーの製作
ループレバーはSNKが開発したレバーで、マイキャラの進行方向とは別方向にショットが
撃てると言う物です。例えば戦車などで前に進みながら横に発砲できるわけです。
仕組みは、レバー軸の末尾に12接点のロータリースイッチが付いていて、軸を回すとマイ
キャラも回転し、ショット方向が変わります。マイキャラは8方向にショットが可能です。
スイッチは12接点なのに、8方向に発射とはヘンな感じです。理由はよく分かりませんが、
ゲーム開始時にはロータリースイッチの接点がどの位置にいても、マイキャラは前を向い
てゲームが開始されます。この辺りの融通を利かせるために12接点のスイッチが使われて
いるのかも。それかロータリースイッチは一回転12接点が一般的ですから、それにならっ
ただけなのかも。
ループレバーの構造は上記の通りなので、レバーの末尾にロータリースイッチを付ければ
良い訳です。その場合、軸を回した時にロータリースイッチが本体ごと回っては困るので
回転止めのストッパーを付ける事がポイントになります。
では早速ループレバーを製作してみましょう。レバー本体には、セイミツLS-32を使用します。
使用するロータリースイッチはアルプスSRN101CNを使用。このスイッチは12接点でぐるぐる
回り(軸回転自体に回転止めが無く、いくらでも回る)なのでピッタリです。軸の中心にM3の
ねじ穴を開けます。軸の中心に正確に穴を開けたいところですが、実際には少しずれていても
動作に影響はなかったりします。
次にレバー軸を外し、こちらも中心にM3のねじ穴を開けます。この部分に寸切りのネジを通し、
ロータリースイッチと接続するわけです。右側の写真は回転止め金具です。穴が3つありますが、
大きいのはロータリースイッチ取り付け用、その下のはスイッチに付いている回転止め用。
左上の穴はロータリースイッチからの配線を固定する穴です。この金具は結構消耗する部分なの
で、厚めの鉄又はステンレスで製作するのがポイント。寸法はカット&トライで決めます。
下の写真左にある様に回転止め金具のストッパーを取り付けます。元からあったタッピングネジを
取り外しM4のタップを立てます。そこに直径6mm、長さ23mm程度のステンレスパイプをM4の
長めのネジで固定します。右の写真はロータリースイッチを回転止め金具に付けたところです。
レバー軸との接続は、切断したM3ネジを使用。空回りを防ぐために菊ワッシャをはさんでいます。
ここまでくると欲しくなるのが、純正ループレバーにある8角の握り玉。普通の丸い握り玉でも
問題なくプレイできるのですが、やはり8角でないと気分が出ないですね。主催者はアクリル板
を台形に切り出して接着。その後8角に削りだして、中心にM6のタップを立てて最後に塗装して
います。
次は配線なのですが、使用するロータリースイッチのタイプによっては、工夫が必要になりま
す。オリジナルのロータリースイッチはショーティング型と言う物で、次の接点に切り替わる
時、前の接点と一瞬ショートします。現在売られているロータリースイッチで12接点の物は
SRN101CNしか見当たらなかったので採用したのですが、これはノンショーティング型です。
このタイプは切り替わる時、どことも接触しないオープン状態が一瞬発生します。殆どのルー
プレバー使用ゲームで問題は無かったのですが、SNK怒だけはマイキャラが一瞬ヘンな方向を
向いてしまう案件が発生。よりによって代表作である怒でこれはいただけない。そこで共通端
子以外の各端子間に0.1μFのコンデンサを繋げて電気的に一瞬のショート状態を作り、動作を
改善しました。
後はロータリースイッチと基板に繋ぐコネクタ(JSTのNHコネクタの13ピン)を接続します。
ゲーム基板のGNDがロータリースイッチの共通端子になります。配線が13本もあるので大変です。
左の写真で18と言う刻印がうっすら見えます。これがロータリースイッチの共通端子。右の写真の
コネクタ(CN7、CN8)のところに1と言う印字がありますが、これがGNDです。まずこの2つを
接続して、あとはロータリースイッチの17番を基板の2・・・。と、言う具合に接続していけば
OKです。もしロータリースイッチの回転とキャラの動きが逆の場合は接続順が逆です。
さて、 SRN101CNでループレバーを作りましたが、その後SRN101CNは入手困難になり、代わりに
ショーティング型のロータリースイッチが出回っています。ハッキリ言ってこちらの方がずっといいと
思います。0.1μFのコンデンサは不要ですし、メカ的にも丈夫そうな感じがします。ループレバーは
結構な数を作ったのですが、実はショーティング型の方が多かったりします。なのでこのタイプの製作
も記事として挙げておこうと思います。
下の写真が今回使用したロータリースイッチ。こう言う外観のものは、ほぼショーティング型の様です。
ロータリースイッチの軸はローレット刻みがあるので、その部分で切断、M3のタップを立てます。軸が
ギリギリまで短くなりますが、その分コンパクトになって好都合。ただこのスイッチ、軸に穴を開ける時
にドリルで軸を押しすぎると接点が接触不良になりやすい様だ。回転止め金具は2㎜のステンレスを使用。

レバー本体は上と同じくセイミツLS-32を使用していますが、LS-56でも全く遜色なく使用出来ます。
これは取付スペースや好みで選べます。下の写真は順次組付けたところ。なお主催者的にループレバー
の組み立てで一番面倒なのは8角の握り玉の組み立て。これさえ無ければだいぶラクなのだが。その次
がロータリースイッチハーネスのピンコネクタの圧着加工。次が回転止め金具と言うところか。
ループレバートップ