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基板ケージの製作

古いゲーム基板を久々に起動すると、ゲームが立ち上がらなかったり、立ち上がったけど何かヘン
(画像がバグっている、音声が出ない)と言う事があります。これは本当に壊れている事もありま
すが、多くの場合ROMや基板結合部の接触不良です。主催者の場合、1年に一回ぐらいは手持ちの
基板の起動試験を行うのですが、調子の悪い基板はほぼ決まっています。そのたびに接触が怪しい
部分の結合をしなおします。20分ぐらいいじっていると最終的にはいつも正常になるのですが、起
動の度に「ああ、またか」とイヤな気分になります。常に安定起動してほしいものです。

そんな中、別のコーナーゲーム基板を自己修理 4の記事の中で「スターウォーズ基板を専用ケージ
に入れたら背景の星が出ない不具合も直ってしまいました」と書きました。基板をケージに入れる
事により、基板がたわまなくなり接触が安定したのです。しかもその後は星が出ない不具合は一度
も発生していません。そこで決心しました。たわみやすい大型の基板とか、接触不良が出るクセの
付いた基板はケージを作って入れてしまおう。

■ タイトー ダライアス用のケージ

まずはタイトーのダライアス。主催者が現在持っている基板は実は2代目。最初のは購入してすぐ
に起動、10分ぐらいは良かったものの30分も経たない内に画像がバグり始めました。具体的には
ボス手前の泡が”♯”の文字になっていました。それで購入した基板屋に送り返して修理を依頼した
のですが、結局「うちでは修理不能」と言われてしまいました。そのダライアス基板は各ボードの
保持が緩く、ギシギシとたわみますし基板自体もくたびれた感じでした。その後、再入手したのが
今持っているやつなのですが、こちらはたわみも無く、基板自身も美品です。それで考えました。
「今は良好でもこれをそのままプチプチに包んで収納すると、その内たわんできて不具合の原因に
なるのでは?ケージに入れてしまえばしっかり保持されるし、静電気や取り扱い上の不注意に対し
ても有利なはずだ」それで今の内にケージに入れて良い状態を保とうと決意しました。

さて、製作を決意したらケージの構造を考えます。ダライアスの基板は大きいので、鉄板で完全に
囲うと大きいわ重いわで大変そう。なので今回は枠だけのフレームにします。下の写真が製作した
フレームの上下。上下を繋ぐ部分は、実際に基板をあてがって決定します。なお、本来これにパン
チングメタルを貼ると本当のケージになるのですが、そんなでかいパンチングメタルの手持ちはな
いし、個人使用ですから枠だけで行きます。




構造をフレームにすると、基板の保持をどうするかが問題になります。普通は基板用ガイドレール
を使いますが、枠だけなので取り付ける事が出来ません。そこでジュラコンの丸棒を立ててノコギ
リで基板の入るミゾを入れ、そこに固定する事にしました。




丸棒の加工が完了したら、枠にダライアス基板をセットしてみます。うむ、中々いい感じだ。ここ
でジュラコン丸棒の固定位置を決定、更に枠上下を結合したのが下の写真。



完成したフレームにセットしたのが下の写真。意外としっかりホールドされており、手に持って縦横
に向きを変えても全くギシギシしません。普段はフレームに色は塗らないのですが、今回は赤で塗装
してみました。ただあまり塗膜が強くないので軽くコツンと当てただけで塗装がはげそう。まあ塗装
は今回だけの遊びですな。これで基板の扱いはかなりラクになりました。




■ バリー/ミッドウェイ トロン用ケージ

次はバリー/ミッドウェイ社のトロン。これは別のコーナーバリー/ミッドウェイ トロンを起動
紹介しているゲーム。その記事中で「各基板はフラットケーブルでは無くフレキケーブルで繋がって
います」と書いていますが、これが本当にヤバイ。出来れば触りたくないと言うか、触ってはいけな
い部分。保管時はこの部分に応力が掛からない様に縦置きとか積み重ねは厳禁。これでは扱いにくい
ので、次はこちらのケージを作ります。




こちらは基板のサイズもそう大きくは無いので、鉄板でケージを作ります。まあケージというよりは
ボックスなのですが、このコーナーでの呼び名はケージに統一します。ケージの構造は鉄板をコの字
に曲げ、内側に基板用ガイドレールを取付け、そこに基板をセットします。更にその上に蓋を作って
かぶせます。それで作り始めますが、これが中々難しい。基板を上手くセットするためには、鉄板を
を曲げた内幅がピッタリであることが重要です。鉄板の厚みと僅かな曲げ位置で内幅は変わってきま
すから、一発でドンピシャに仕上げるのはまぐれに近い。内幅は少々広い分にはゲタをかまして対応
できますが、狭いと一から作り直しです。それで少し広めに作り始めたのですが、最初は青いガイド
レールを使用予定でした。それで青いガイドレールを嵌めて基板をセットすると、幅が広すぎて基板
がずり落ちてしまいました。適当なワッシャーをかませて幅を狭めたら対応出来そうでしたが、別の
黒いガイドレール(こちらは底が少し浅い)にナットをかませたら丁度良い幅になる事が判明。黒い
ガイドレールは元の爪を削り、皿ネジに変更して取付けました。




下の写真が基板をセットしたところ。ピッタリはまっています。




基板の取り付けが上手く行ったので、ケージの奥にフレキ保護のストッパーを取り付けます。中心に
ケーブルが通るのでケーブル用クリアランスも設けます。




最後に蓋を付けてケージが完成しました。作った後言うのも何だが、やはり重い。丸ごと鉄箱にする
のは、このサイズを限度にした方がよさそう。ですがケージに入れたおかげで他の基板と同等に扱え
る様になり、写真の様に立てて置く事も可能になる等、扱いはメチャラクになりました。




■ 任天堂 ドンキーコング用ケージ

さて、次は任天堂 ドンキーコング。この基板は別のコーナードンキーコングⅡをプレイで写真が
出ていますが、なんと5階建て。で、とにかく毎回立ち上がりが悪い。ゲームをしない時の保管は
ピッタリサイズのプチプチに入れて横向きにして箱に入れているのですが、その間に基板がたわむ
らしく、最下部の後付け基板と4階部分のNHコネクタの接触が悪い。それでケージを作って保護す
る事にします。ケージの部品として、まずはサイドの鉄板を用意したのですが、片側のケーブルが
基板外部を通っていて邪魔をします。なのでケーブルの引き回しを変更します。それが下の写真。




ケージはガイドレールを取り付けるサイドの鉄板と、それを繋げる四角に組んだLアングルの組み
合わせ。製作はサイドの鉄板にガイドレールを取り付け、基板をセット。幅を計測してLアングル
を切断、四角に組み立てます。この方式ですと、ガイドレールの幅ピッチ合わせがラクに出来る
ので今回採用しました。




下の写真はケージ固定ネジの位置を決めているところ。ベークライトの茶色い基板が映っています
が、これが最下層の後付け基板。ICソケットに長いピンで接続される構造。ネジでの固定が無いの
で簡単にズレてしまいます。それ以外にも、この基板のNHコネクタは旧式の様で、今の物とはピン
コンタクトの形状が異なります。そのためか接触不良になりやすいです。




ネジで組み付けて、ケージが完成しました。このケージは元の箱に同じ様に収納したいので、とに
かくカツカツに作りました。あとNHコネクタのピンコンタクトですが、もしまた接触不良が出る様
なら、現行品に変更した方がいいかもしれません。




■ サンリツ ルージュアン用ケージ

さて、お次はサンリツ ルージュアンです。この基板はゲーム基板を自己修理 3で紹介しています。
最近の起動状況を説明しますと、ゲームは普通に起動するし、画像も異常はありませんが、音声が
毎回不良。この基板は3階建てなのですが、最下層と2階が先のドンキーコングと同じICソケットに
よるピン結合。この構造はダメだね。基板を出してきて起動する時は、毎回この部分を抜き差し。
その様な訳で、これもケージを作ります。下の写真がガイドレールを取り付けるサイド鉄板。この
基板は最下層と2階を繋ぐプラサポートが出っ張っていてガイドレールを遮ります。なのでその部分
を避ける為、ガイドレールの位置をずらしています。




ケージの組み立ては基本的にはドンキーコングと同じですが、基板全体の高さが低い為、Lアングル
は四角形になっていません。つまりサイド鉄板は単なるLアングルで繋がっています。それでサイド
鉄板に基板を仮置きしてLアングルの長さを計測していたのですが・・・。微妙にガタガタして寸法
が出ない。原因は先のプラサポート。これの出っ張りがガイドレールより高く、サイド鉄板にぶつか
っていた。




仕方が無いのでサイド鉄板をくりぬき、プラサポート部分をかわします。




うむ、上手くケージに収まりました。このケージもほぼカツカツに小さく作っています。だけど元の
場所に収納するのは無理でした。まあ前の収納がきつすぎたのですが。元の場所はルージュアンを抜
いて丁度いい詰め具合と判断、ルージュアンは別の場所に変更しました。この調子でケージ化をどん
どん進めると収納スペースがえらい事になりそうですな。なおケージ化してから収納→起動を3週間
ほど繰り返しましたが音声不良はゼロ。今のところ安定しています。




■ アタリ フードファイト用ケージ

次はアタリのフードファイト。この基板はアタリ フードファイトを起動で紹介したやつ。実は
このケージは過去にアタリのメジャーハボックの基板用に作ったものを再利用したもの。メジャー
ハボックの時はメジャーハボック基板と、L字型に付く画像補正基板を一体化したケージだったの
ですが、画像補正基板を使わないのと、その後完全にカバーするケースを作ったので不要になって
いたのです。下の写真はメジャーハボックの時の物です。




アタリの基板はサイズが結構揃っているので、そのまま再利用出来ました。なおケージの再利用に
あたり、L字型の部分は不要ですから短くしています。実のところケージとしての効果はあってない
ようなものですが、収納時に基板のフチをぶつける心配が無いので取り扱いはラクになりました。




■ アタリ メジャーハボック用ケージ

これは上で紹介したメジャーハボックの新ケージです。アタリ メジャーハボックを起動内にて製作
した物です。基板は先のトロンよりも遥かにでかいのにケージは完全なボックス形状。なので重くて
大変。メジャーハボックの基板にはかなり苦労したので、ここは完璧なガード形状にしました。ただ
基板は一枚物なので、その分薄いのが救いです。基板は2枚あるのでケージも2つ。




基板の保持はガイドレールでは無く、プラスチックのLアングルを使用しています。メジャーハボック
基板をカバーする大型のガイドレールは無いし、Lアングルだとガイドレールよりレール内寸が深く取
れる利点がありますから、ケージ内寸誤差の許容も大きく、その点はラク。




■ 任天堂 パンチアウト/スーパーパンチアウト用ケージ

次は任天堂のパンチアウト/スーパーパンチアウト。このケージはゲーム基板を自己修理2でスーパー
パンチアウトの修理完了時に作ったもの。この基板は結構大きく、基板は3階建て(スーパーはCPUの
部分がカスタムされているので一部4階建て)。にもかかわらず各基板の接続はワンタッチ式のブッシュ
方式。なので基板を持つとかなりギシギシしていました。これは本来ケージに入っていたのでこの様な
仕様だったのだと思います。当初はスーパーパンチアウトのみケージを作りましたが、今回ノーマルの
パンチアウト用も製作しました




構造は先のドンキーコングと同様の方式で、サイド鉄板とそれを繋げる四角いLアングルの組み合わせ。
ガイドレールは青いタイプを使用。これはパンチアウト/スーパーパンチアウトの互換性を持たせるため
ですが、青いガイドレールが品切れになったのでパンチアウト用は下側2本が欠品になっています。まあ
パンチアウトのこの部分はワンタッチ式のブッシュが破損していたので、スペーサー+ねじ止めに変更
しています。なのでガイドレールが無くても問題は無いでしょう。





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