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スチームパンクトップ

RCAラジオラ24を修理

今回はRCAのラジオラ24を修理、実用可能に持っていきます。ラジオラ24は過去に”RCAラジオラ
スーパーを修理
”でUPしたAR-812型の姉妹機種です。発売年はAR-812型が大正14年なのに対し、
翌年の大正15年発売となっています。主催者がラジオラ24を初めて見たのは1988年。別のコーナー
食玩・オマケコレクションを発掘”で紹介しているアンティークラジオショップからもらったカレン
ダーに載っているのを見たのが最初。下の写真がそのカレンダーです。ラジオラ24は本体にループア
ンテナが刺さっていてアクセントになっています。これによりAR-812よりもう一つスチームパンクっ
ぽさに拍車が掛かっています。ループアンテナと言えばアンティークラジオと言うイメージがありま
すが、現実にはループアンテナ付きのラジオは殆ど無く、主催者もこの写真で初めて見ました。この
時から「こんなラジオがあったんだ。カッコいいのう~。機会があったら手に入れてみたいもんだ」
と思っていたのです。




しかしアメリカ製ですし、生産台数も少ないらしく日本で見かける事は殆どありません。それでもダメ
元で情報収集をしていると、少ないながらも入手の機会が訪れます。ですが価格が高かったり、ボロボ
ロだったりで入手に踏み切れません。ラジオラ24はトランク型のケースに入っていますが、これは木製
に革張りの構造です。この革張りがボロボロの物が多いのです。この部分は自分では修理できませんか
ら状態がいい物があれば購入を考えよう、と思っていたのです。今回見つけたラジオラ24は状態も良さ
そうですし、ダイヤルとかの状態も良さそう。ただパネルに付く切り替えスイッチが壊れているのは分し
かっていまた。これは出品写真で示されていました。内部写真を見ると真空管は6本全て揃っています。
しかしそれ以上の事は分かりません。アンティーク品ですし、正確な状態は実際に商品が届くまで分か
りません。ですが古いラジオの場合、内部メカは何とかなるものですが外装はどうしようもない事が多
いですから、状態の良い今回の商品を入手する事にしました。後は修理がラクに出来る個体である事を
祈るのみです。




それで届いた商品を確認すると・・。真空管が割れとるやんけ。これは真空管が付いた四角い回路BOX
(カタコーム)を止めるネジが欠落しており、輸送中に暴れたためと思われます。下の写真中と右がカタ
コームの固定部分ですが、左右のネジが両方ともありません。




取りあえず真空管の破損を連絡すると、いくらか返金してもらえました。ですが割れていない他の真空
管も結局全て使用不能でした。さて、他の部分のチェックをします。まず壊れている切り替えスイッチ
ですが、ノブの部分と接点の部分が外れていて赤いビニタイで縛ってありました(下の写真左)。修理
はこの部分から入ります。




外れた部分の組付けはどうしようかと思いましたが、結局打ち込んでカシメた後、ハンダで固めました。




さて次の修理ですが、同調ダイアルが全く回らないのでメカを見てみると片方はリンク機構が外れ、もう
片方はゴムが劣化して無くなっていました。この部分も一旦パネルから外して、サビ汚れを除去します。




下の写真がメンテが完了したところ。リンク機構は磨き上げ、劣化したゴムは丁度使える物があったので
両方とも交換。組付け時にグリスも塗布したところ、動作良好になりました。




お次はループアンテナ。ラジオ本体と接続するピンソケットの配線が取れていたので接続。




さて、次はいよいよカタコーム。よく見るとカタコームのフタの留めがRCAの刻印入りリベットになって
います。と言う事はこのラジオは内部メカに一度も手が入っていない個体なのか。ヘンに手が入っている
よりこの方がいいぞ。今回は修理目的なので当然開封します。それでリベットを傷めない様に、そうっと
取り外しに掛かったのだが・・・。このリベット、鉛合金?で出来ている様であっけなく破損してしまっ
た・・。ううむ、つくづく残念だ。




いよいよカタコームの開封に入ります。これは前回のAR-812でやった様に、電熱器で加熱して内部の松
ヤニを溶かします。それで暫く過熱していると、下から溶けた松ヤニが染み出てきました(下の写真中)。
しかしいくら待ってもここから進展しません。AR-812の時は既に修理が行われており、カタコームの松
ヤニは底に少しあるだけでした。しかし今回は初開封で、内部にはぎっちり松ヤニが入っているでしょう
から、もっと熱量が要るっぽい。なので意を決してキッチンのガスコンロであぶる事にしました。




すると中からかなりキツい松ヤニの臭いが。臭いはしますがまだまだ開封できそうにありません。業を煮
やしカタコームの缶を少し傾けます。すると真空管ソケットの部分から松ヤニが流れ出てきました。なん
か真空管ソケットの端子が汚れてイヤな気分。しかしもう遅い。それでこの際、カタコームの缶を横に寝
かせてあぶります。するとゴボッと抜けました。物凄い湯気と臭い、そして熱い。




抜けたカタコームを暫く放置、温度を下げたのが下の状態。温度が下がったので当然また固まっています。
なんかキャラメルの様な色と質感。




カタコームからは蜘蛛の糸の様な細い配線が何本も出ています。これは写真に撮っても良く分からないの
で、ステレオグラムにしてみました。平行法です。立体視する事により手に取る様に分かります。




ここからが大変です。残った松ヤニを綺麗にしなくてはなりません。やり方は、まずスポットヒーターを
用いて松ヤニを少しづつ溶かしながら流し落とします。下の写真左が流し終わったところ。ここまでで3日
ほど掛かりました。スポットヒーターで落とせるのはここまでです。ここから先はシンナーで溶かします。
カタコームの缶にシンナー(トルエン)を入れ、そのままドブ浸け。それで3日ほど放置。そこそこ溶けた
様なので引き上げ、綿棒でこすります。シンナーから引き上げたままでは残渣が残っていますし、かなり粘
つきますから粘つきの除去も兼ねています。それで何とかクリーニングが終わったのが下の写真右。




綺麗になったところで回路のチェックに入ります。案の定?低周波トランスは2つとも断線していました。
それ以外では松ヤニの除去時にコイルの引き出し線を引っ掛けたらしく、コイルのテープが巻いてある部
分で断線させていました。それでこの部分を修理、元通りにテープを巻いておきます。




さて次は断線したトランスですが、前回はトランスを巻き直しました。しかしこれも苦労した割には、半
年ほどで再度断線してしまっていたのです。それで思い切って市販のトランスに交換したところ、巻き直
すよりも遥かに良い結果が得られました。なのでこちらは最初から市販品に交換します。ピッタリ収まる
鉄のアングルを製作して取り付けます。外したトランスも保存しておきます。元通り組み立ててカタコー
ムの修理は終了です。




次はカタコームをラジオ本体に取り付けるのですが、上に書いた様にネジがありません。仕方が無いので
オリジナルと同じネジを手配します。これがただのネジにしては高価格で参った。しかもスリワリ(マイ
ナスネジ)ではありません。なので強引にマイナスネジに加工します。やり方はネジの両端にナットを取
り付け、そのまま溶接。しかる後に頭を削ってマイナスのミゾを入れます。




しかししくじった。ケチって一本のネジの両端にナットを取り付け、2本のネジを作り出す計画だったの
だが、やってみたら長さが足りなかった。仕方が無いので普通に2本のネジから作り直します。結果は
上手く固定する事が出来ました。




さあ、あと少し。下の写真左はカタコームが振動で揺れた時の激突防止の金具。カタコームの固定金具は
リーフスプリング状であるためこの様な金具が何点か付いています。しかしゴムが劣化していたり、金具
そのものが欠品していましたので作り直しました。後はアンテナ、スピーカー、電池の配線をしたら修理
完了です。




電池、真空管を付け、いよいよ電源を入れます。しかし動作しません。まあそうだよな。こんなのが一発
で動作したらそっちの方が奇跡だ。それでよく見たらレオスタット(要はボリューム)のハンダが天ぷら
ハンダだった。古いだけにメチャクチャハンダの乗りが悪かったが、何とかハンダ付け。




それで電源を入れると今度は動作!このラジオは単バリコン2つでスーパー受信機を構成しているので、受
信はやや面倒。と言うか、最初は中々受信できない。しかも受信周波数帯は低い方に寄っています。まあ、
直線容量型バリコンだし。受信はおよそ700khzが12時の位置。1khzが9時と10時の間ぐらいです。1.3
khzになると9時の位置から5目盛りぐらいになります。ちなみに電池はAR-812の時の物をそのまま使用し
ています。B電池の電圧は70Vぐらいに下がっていますが、まだ受信できます。なおB電池は製造ロットや
品質が揃っている事が重要で、そこら辺の100円ショップで適当に買った物を組み合わせて使うと、あっと
いう間に電圧が下がり、全然使っていなくても1か月ぐらいしか持ちません。これは電池の残容量のバラつ
きから電池同士が充放電を行うためと思われます。電圧の低下については、収納時に電池ボックスの端子が
どこかに接触して電池が消耗した?と言う可能性も考えられるため、プチプチを被せて絶縁を完璧にしまし
た。更に90Vの端子にうっかり触れると危険なため電池ボックスの接続をコネクタ式にして取り扱いをラク
にする追加加工もしておきました。あと、このラジオは低周波増幅が1段と2段の切り替えが出来ます。2段
の方が当然音量は大きいですが、ハッキリ分かるほど音質が低下します。B電池の電圧がまだまだ高かった
り、真空管の消耗が低い物を使うと音量も多いので増幅は1段がいいです。




B電池は60V台になるとさすがに受信出来なくなります。それで電池をまた買うか?となるのですが、本当
に特性の揃った物となると通販一択となって面倒。このラジオは毎日常用する訳でもなく、時たま動作確認
する程度だし。そうなると欲しいのが外部電源。ラジオラ24には外部電源用の端子が付いています。なので
この部分に接続するACアダプタを作ればいいのです。接続コネクタ自身はベークライトと真鍮丸棒で製作。
接続端子にコネクタを挿すと、ラジオ内部の電池は切断されます。きちんと切り替え接点になっています。
逆に考えると、この部分の接点の調子が悪いと内蔵電池での受信ができなくなると思われます。また、外
部電源端子はA電池とB電池のみです。C電池は対応しておらずラジオに内蔵のものを使用します。今回製作
する電源のユニットは何も考えずスイッチング電源を用意。これは以前オークションに出ていたラジオラ用
のACアダプタがスイッチング電源っぽかったし、トランスの準備とか元から眼中に無かった。




それでいざ配線に掛かってから思いました。「中波ラジオにスイッチング電源はまずいのでは?」これは
過去に1980年代のラジカセにスイッチングACアダプタを使ったところノイズがひどく、結局トランス式
の物に交換した事を思い出したのです。しかも今回は古~い直熱真空管のラジオだぞ・・・。それで動作
させたところ受信はするけど、やっぱりバズ音がひどい。どうする?ノイズフィルタを付けるか?それと
も電源自身をシールドするか?A電源だけでもドロッパ式にするか?いやいや隣の部屋から配線を引っ張れ
ばいいのでは?色々考えられますが、まだ何もやっていません。元々音の悪いラジオですが、場合によっ
てはノイズに音が埋もれてしまいます。ただ電源としてのパワーは凄く、ヒーター電圧調整が電池の場合
の半分ほどで済みます。




電波の弱い局の受信は,、バズ音の変化で受信している様な感じはするが、音声はまるで認識出来ず。受信
確認が出来ない様では困ります。それで意を決して電池を購入。やはり100円ショップです。購入は商品の
回転が良い大型店舗で、更にロット、有効期限を確認して購入。それで電池で受信した結果は・・・・。
いや~クリアですわ。先ほどはバズ音で認識できなかった局も普通に受信。やっぱりスイッチング電源では
ダメだったのでした。


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