テーブル筐体の製作
主催者は部屋を模様替えしました。白だと思っていた壁がストーブのススで灰色になっていたの
です。それで壁紙を貼り換え、空調もエアコンに変更、カーテンも大概ボロだったのでメンテ、
ブラインドも新調、机も新たに製作して部屋のイメージがガラっと変わりました。それで今迄置
いてあった自作の25インチ液晶ゲーム筐体は、部屋にそぐわないのでゲーム基板が置いてある部
屋に移動しました。それでインテリア的にはスッキリしたのですが、やはりこの部屋にもゲーム
筐体が欲しい!そこで新たにゲーム筐体を作る事にしました。
製作する筐体はテーブル型にします。新しい壁紙はカントリー系だと思うので、机もそれに合わ
せたデザインで製作しました。テーブル筐体も机に併せたデザインにしてインテリアの共通性を
図ります。
テーブル筐体はブラウン管モニターを使用します。理由は液晶では上手く映らない基板が多く、
最終的には映るのですが、そこまで持っていく調整が大変なため。サイズは14インチ。14インチ
モニターはブラウン管とモニター基板が別置きになっているのが普通と思います。そこで最初に
これらを一体化させます。一体化させるとブラウン管の縦横変更がラクですし、各種調整ボリュー
ムがブラウン管のすぐ下に来て使い勝手が良くなります。下の写真は左がナナオのモニターで過去
に自分で一体化させたもの。こちらを参考に作業を行います。
加工はブラウン管のミミに取り付ける金具の製作から入ります(下の写真左)。この金具に
モニター基板取り付け用の金具を付け、モニター基板をセットします(下の写真中と右)。
続いて基板の後面を支える金具を製作します。まず20㎜の角パイプを半分に切り(下の写真左)。
それを曲げて先ほどのミミ金具と基板の後部に接続します(下の写真中と右)。
次はモニターを取り付ける枠を作ります。この枠の外側には筐体の木部も付きますので、これで筐
体の幅と奥行きが決まる訳です。それで枠とモニターを合わせて見たのですが・・・。まずい事に
気が付きました。枠にはモニターを固定する金具を追加するのですが(下の写真右の赤い部分)、
モニター縦横変換を考えるとモニター基板が取り付け枠の追加金具にぶつかって、モニターを引き
出せそうにありません。金具の形を変更しても、これは回避出来そうにありません。
アカン。取り付け枠に金具を追加する方式では、どう考えても無理なので取付法を変更します。
モニターのミミ金具を延長して、取り付け枠にジカに載せる方式にします。延長と言いましても
要は作り直しです。下の写真が作り直したミミ金具。
次に取り付け枠に付ける足を製作します。筐体の木部が無くてもこれだけで自立する様にします。
筐体木部はベニヤ板を使用しますが、コントローラーの取り付けを考えると強度に不安があるので
この様にしました。足にはコントローラー取付用のボスを一本に付き2個、計8個付けました。下の
写真が製作した足。
モニター取り付け枠と足を溶接します。足はなるべく垂直に立てたつもりですが、今一揃っていな
い。溶接箇所が入り組んでいて作業性が悪いのと、写真では分かりませんが、先のボスの溶接時の
熱で足のアングルが緩いカーブを描いていて溶接基部では垂直でも先端では開いていたりする。ま
あ4本まっすぐには出来なくても、取り付け基部と先端の開き差が3㎜程度なので良しとしよう。
ここでモニターを載せてみます。この時点で足に補強も追加しました。うむ!上手く載ったぞ。と
思ったのもつかの間、ここで何か違和感が。何だか背が高すぎる様な気がする。調べてみたら足の
長さは54㎝の計画に対し、62㎝で作っていた。これは材料を切り出した時に長めにしたのだが、
切り出しから時間を置いた為に、その事を忘れてそのまま作ってしまった。
計画ではモニター高さが下から64㎝ぐらいの予定だったのです。このままいくと全高72㎝ぐらい
になりそう。テーブル筐体としてはちと背が高い。どうするワシ。仕方が無いので足を8㎝切り戻
すか、と思ったのですが「もしかしてナムコのシステムⅡがそのまま入るのでは?」と思いつき、
セットしてみたのが下の写真。基板がモニターに近く、デンジャラスな感じがするが丁度入った。
元々大型の基板は外置きの予定だったのですが、これはこれでいい様な気がしてきた。ただブラウ
ン管モニターはフライバックトランスがノイズを発するし、微細な放電が出る事もありますから、
基板保護の為には対策をした方がいいかも。
さて、次は足のボスにコントローラーの台を取り付けます。台はアンティークなデザインの棚受け
を使用。そのままでは出幅が足らないので鉄板で前にせり出しています。ただこの棚受け、未使用
品だが相当古い物の様。留めネジの穴位置がバラついており、現物合わせで加工する必要がある。
その割には棚受けの入っているパッケージにはものすごい手間がかかっている。
コントローラーは今まで作った物を使用します。それでコントローラー台に早速コントローラーを
置いてみました。置いたのは、高さがかさばるトリプルコントローラー。最終的にはブラウン管の
上にテーブルのガラスが来ますから、違和感は無いはずだが、ちと高すぎたか?また、コントロー
ラーがかなり手前に出っ張っていますが、意外と安定しています。
コントローラー台は上のボス基準の予定でしたが、下基準にも出来ます。それが下の写真。こっち
方がいいかも。これは最終的にプレイして決めよう。
それで早速プレイをしてみました。コントローラーの位置の問題は、この時点では良く分かりません
でした。それよりも気になるのは画面の奥が見ずらいこと。特に縦画面。下の写真左が現在の状態。
こりゃ、背筋を伸ばした状態&かなりつんのめった姿勢になりそう。それで筐体の高さを当初の計画
(約54㎝)での見え方にしたのが下の写真右。
う~んやっぱ62㎝では高さがありすぎる。それでもし54㎝にしたとして、システムⅡが入るのか?
基板の下に8㎝の箱を置いて実証してみました。いや~ますますもってブラウン管に近づきますが、
ブラウン管のアノードキャップの部分に持ってくれば入る事は入る。しかしこうなるとブラウン管
と基板の境界にシールド鉄板は絶対必要だなこりゃ。
結局54㎝にする事にしました。プレイしやすさは何より優先するのです。それで足を8㎝切断した
のが下の写真。ただ、筐体の高さを下げた&コントローラーの位置を下げた&コントローラーが
出っ張っている、この3つの相乗効果で足回りが狭い。
足回りが狭いので大股開きで座る事になりますが、筐体自体が小さいので特に問題無くプレイ出来
るだろう、たぶん。そういや昔、セガのエアロテーブルと言う26インチのテーブル筐体があった。
この筐体、でかいわ足元は狭いわでかなり窮屈な姿勢になった記憶がある。あれに比べたら全然ラ
ク。
さて、これで金属によるフレーム部分は出来ました。次は木材でテーブル型に仕上げます。製作は
金属フレームを乗せる台座から入ります。下の写真左が金属フレームを台座に乗せたところ。続け
てサイドの木部を製作して金属フレームに合わせますが、これが上手く合わない。足4本の内、3本
まではピッタリ行くのだが残り1本だけがどうしても開いてしまう。金属フレームを叩いたりねじっ
たりしますが、何をやっても変化なし。結局のところ足の直角度の問題で、足の左右の直角は4本
とも出ていたが、前後の直角が狂っており、一方がひし形になっていたのが原因だった。何とか溶
接を修正してサイドの板を取り付けたのが下の写真右。
今までコントローラーは棚受けの左右の接続が無いまま載せていましたが、ここで棚の左右を接続
し、台として仕上げます。棚受けの左右の接続は厚さ5㎜のアクリルを使用。ここにスピーカーを
取り付け、アクリルの手前と奥に高さ確保のために木材を貼り付けます。高さが必要なのはコント
ローラーがコントローラー台にかぶさる仕様のためで、これによりプレイ中にコントローラーがず
れることなく安定するのです。あと、スピーカーの部分は保護用パンチングメタルを取り付けます。
次は天板を製作します。木材で枠組みを作り塗装、厚さ5㎜のガラスを買ってきて取り付け。天板
は筐体の上に置くだけにします。これは筐体の異動時に天板をつかんで持ち上げると、天板が反っ
てガラスが割れる等の不安があったので、あえてこの様にしました。下の写真右が完成した天板。
さて、お次はコントローラー台の部分に付ける扉を製作します。使用しない時にコントローラー台を
たたみ、扉を閉めればスッキリコンパクトになる算段です。扉はルーバー風のデザインにします。当
初は風通しのある本物のルーバーにする予定でしたが、構造上、扉の厚さが取れなくなり、ルーバー
にするのは難しくなりましたので、ルーバー風デザインになりました。
これで木工が全て終わりました。続けて上の方で紹介した机と同じ色に塗装、扉と開閉用のとってを
付けて筐体加工が完了です。
いや~これでようやく筐体加工が終わりました。後は電源とハーネスを製作します。ここで電源の設
置場所を考えたのですが、思いのほか内部が狭い!上の方でナムコ システムⅡが入るか?と書いて
いますが、システムⅡどころかタイトー G-NETですらきつそうな予感。これは少しでもスペースを
空けなければ。そこで苦肉の策として電源スイッチパネルと電源ユニットを縦に置く事にします。
それで製作したのが下の写真。電源スイッチが2つありますが、モニターと基板用でスイッチを分けた
のです。こうすればゲームの変更時にモニターの入り切りをせずに済んでモニターの負担が軽減され
ますし、基板の画像表示もすぐにされて好都合です。下の写真左はモニターをセットして上から見た
ところ。各種調整ボリュームが画像を見ながら調整できる位置に来ています。この時点でモニター基
板の半田面に感電防止のアクリルを付けました。
最後にハーネスを製作して完成です。写真の基板はナムコ システムⅠ。基板の収納スペースは狭い。
横置きなので少し飛び出しています。縦方向だと筐体内に収まりますが、縦にセットするのは無理と
言うか、かなり面倒。しかしよく考えたらプレイ時は正面扉は開いたままになりますから、横向きで
も問題無かった。下の写真右は反対側の扉を開いたところ。なお上のフレーム工作の部分で高さは
”54㎝にする事にしました”とありますが、これはモニター取り付け金具の高さなので、実際はブラ
ウン管表示面の高さとか、筐体台座とかの高さが追加されます。実測の最大高さはガラスの木部まで
含めると68㎝程になりました。
ちなみに下の写真左はナムコ システムⅡをセットしたところ。右はタイトー G-NET。G-NETサイズ
だと問題無いが、大きな基板(或いはケージに入った基板)は当初の予定通り?筐体外部にセットす
る事になります。
さて、基板の表示が可能になったので色々な基板を映してみます。下の写真は左からリブルラブル。
テーブル筐体と言えばやはりコレ。その横はセガ エンゼルキッズ。続いてR-TYPE、モモコ120%、
エキシディ サーカス。これらは液晶だと映すのに苦労する基板ですが、ブラウン管なら楽勝。
ついに完成しました。いや~今回の製作は時間が掛かった。およそ8か月も掛かってしまった。今回
時間が掛かったのは最近進行が遅いと言うのもあるが、木材と金属のハイブリッド構造にしたのが大
きい。金属をやって、木材をやってと言うのは勝手が違うので準備とかが面倒になってしまう。では
なぜハイブリッド構造にしたのかと申しますと、最近は木材が高く、3年前からすると2倍以上の値
段になっています。なので安い木材を使いますが、そうすると収納式のコントローラー台やら重量の
あるブラウン管は強度的に持たないと思われますので、金属フレームにしました。写真では良くわか
りませんが、本体サイドの木材は9㎜のベニヤ板を2枚張り合わせる等して、コストを下げています。
テーブル筐体の製作 トップ