パーツワンポイント講座
八角継手
カプセラで最も重要なパーツは何か?モーターカプセル?いいえ、八角継手です。いくら
パーツがあっても、これが足りないとモデルが作れません。また精度および強度もかなり
のもので、自作などでは対応できません。そんな八角継手なので、保管時は注意すべき点
があります。それは”他のパーツに接合したままにしない”と言うことです。接合したまま
置いておくと、応力がかかり続け、やがてクラックが入り、割れてしまいます。要するに
完成したモデルをずっと飾っておくのは良くないということですね。
八角継手の修理
割れてしまった八角継手ですが、とりあえず修理にトライしてみました。材質はポリカーボ
ネートなので、それが接着できる接着剤を探せばいいことになります。ポリカーボネート用
なんて簡単に手に入るのか?と思いましたが、すぐに入手できました。ホームセンターに売
っているアクリル板、その名もアクリサンデー用の接着剤がポリカーボネートにも使用でき
ることが判明!実際使ってみたところ問題なくモデルが作れる強度で接着できました。(当
方では接着してから6時間程度放置後に組み立て)ただ、接着した部分は本来の強度よりは
劣ると思われますので、あまり無茶はしないほうがよさそうです。
ウォーム歯車カプセル
ウォーム歯車カプセルはエキスパートVシリーズ用に開発されたパーツ。エキスパートVの
”V”とは、ヴィークル(車)のこと。要するに車専用で、船に使用することは基本的に禁止。
要は水につけてはいけないパーツなのです。もともとウォームギヤは抵抗の大きなギヤなの
で、基本的にグリスをつけて使用します。ウォーム歯車カプセルも、新品時はウォームギヤ
(写真下参照)にグリスがたっぷり塗られていました。ウォームギヤを水につければグリス
が流れてしまうと言うわけです。年数が経って、グリスが枯渇した場合は当然グリスを塗っ
た方が良い。その場合、絶対にプラスチックを侵すことの無い”シリコングリス”を使うの
をお勧めします。もともと塗られていたグリスもシリコングリスと思われます。
ピニオンギヤの割れ
多段減速カプセルのピニオンギヤでクラックが入ったものが出てきています。直し方はありま
せん。この樹脂は溶剤が利かないので、接着剤での修復は不可能。ではクラックが入らない様
にするにはどうすれば・・・。考えられるのは、まだクラックが入っていない内にピニオンギ
ヤを一度抜き取り、ドリルで0.1mm程度穴の径を広げてもう一度はめなおす。要は穴がきつ
くてクラックが入ると言うことなので、穴を広げてピニオンギヤに与える疲労を軽減しておく
のです。また、樹脂の劣化を防ぐ”アーマオール”と言う商品も存在するので、使ってみるのも
手かも知れない。クラックが入ってしまったギアはとりあえず気にせず使うのが現実的だと思
います。回転時ガーガーと雑音が出るのがイヤですが。もし完全に割れてしまったら、その時
は代替を探すかギヤを作り直すしかないと思っています。
ピニオンギヤの修理
ピニオンギアの修理ですが、ギアの自作を考えたり、ギアメーカーに問い合わせたりして、長年
何とかならないか考えてきました。それで屈折十年、ようやく使えそうなギアを見つけました。
下の写真で上から、元のパーツ、交換用ギア、割れたギアになります。
交換用ギアですが、そのままではシャフト穴径が合わないので、丁度良いサイズに穴径を広げる
必要がありました。また、ギアの全長が短いのでスペーサーもあった方がいいです。下の写真が
交換したところ。
それで実際に多段減速カプセルにセットしたところピッタリ!上の方で「気にせずそのまま使う
のが現実的」と書いてはいますが、大型モデルなど高トルクが必要な場合や発電機を作った場合
はクラックの部分でギアがロックしてしまうことがあり、事実上オリジナルメカの製作は不可能
でした。しかしこれで自由にモデルが作れます。ちなみに主催者が持っている多段減速カプセル
のギアのクラック率は70%でした。
モーターカプセルのメンテ
モーターカプセルは長年使っていないと電池を繋いでも動かなくなってしまいます。モーターボー
トを作ってうっかり水没させた場合なども動かなくなってしまいます。主催者も久々に全てのモー
ターの動作確認を行って見ましたが、こちらもほぼ70%の確率で動きませんでした。動かない原因
は2パターンあります。一つは、モーター軸受け部の油切れ又はサビによる固着。もう一つがブラシ
の接触不良。軸受け部の固着は、回転軸がガチガチに固まっていますからすぐに分かります。注油
して回転軸を手で回してスムーズに動く様にします。一方ブラシの接触不良は、モーター軸はスム
ーズなのに電池を繋げても回らない、と言う場合に該当します。下の写真がそうなのですが電圧は
3.18V掛かっているのに電流は0.01Aとか、ほぼ流れていません。
この場合の直し方は電池を繋ぎ、モーター軸をまるでエンジンをかける様に指先でブルン、ブルン
と回し続けます。するとその内接触が改善しユルユルと回り出します。ただしモーターを傾けると
止まってしまうと思いますから、回る角度で15分ぐらい回しておきます。少しづつ角度を変えなが
らそれを繰り返し、どの角度でも回転、なおかつ回転を手で止めても、手を離すと勢い良く回り出
すまで繰り返します。下の写真では電流も0.3A流れる様になり、無事復活しました。
なおモーターカプセルの注油ですが非常にしにくいです。モーターカプセルは接着剤で固定されて
いて分解できないためです。モーター軸の三ツ爪パーツを注意深く抜き取り、そこから注油するし
かないです。
コードの取り扱い
コードは使用しているうちにだんだん接触が悪くなってきます。接続はされているのに、
モーターが動かないときがあるのです。原因のひとつはピンの先が緩くなり、しっかりと
接続されないと言うもの。この場合はカッターナイフの刃をピンの先に入れ、しっかりと
接続されるように先を広げてやればOKです。
もうひとつは線の被服の内部で銅線が切れかかっていると言うもの。リード線とプラグの
黒い部分のつなぎ目で起こりやすい。この場合切れ掛かっている部分で一旦切断し、内部
の銅線を接続すれば直るわけですが、修理部分が目立ってしまうしコードの全長も短くな
るので、なるべく断線しない様に心がけたいものです。
車軸ユニット
KC300~700とV-39では、車軸ユニットは分解して収納する様になっています。主催者
も収納時にはいちいち分解していました。しかし車軸ユニットの接合部をよく見たら、
やはりと言うか、軸をくわえるプラの部分が少し広がっていました(下の写真左)。前々
からいちいち外すのはどうかと思っていたのですが、やはり良くなかったのだ。その後
KC-500の箱がかなり傷んできたのと、パーツの形にモールドされたプラ枠に収納してい
るとカプセルが擦れて曇ってくる事も発見したので、元箱は廃棄して別の箱に入れるこ
とにしました。その時から車軸ユニットも組み立てたまましまう様になりました。
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