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SEGA chihiro を起動

今回はセガのchihiro基板を起動させます。ソフトはクレイジータクシーハイローラーとアウト
ラン2。chihiroはNAOMIと同じJVS規格の基板なのですが、NAOMIと比べると取っ付きにく
いイメージです。これはchihiroが大型/専用筐体に使用されていたのが原因と思われます。
元々セットされていた専用筐体から取り外し、違うソフトを入れて問題無く動くのか?と言う
疑問がありますし、そもそも一般的なビデオ筐体に入れて稼動を行ったと言う事例をあまり
聞きません。購入のコツはゲームが確実に動くマザーとソフトをセットで入手する事です。

チヒロシステム


chihiroには大きく分けてTYPE1とTYPE3があると言われています。主催者が持っているのは
TYPE1。NAOMIのDIMMボードがそのまま乗っかっているタイプで恐らく最初期型。TYPE1とか
TYPE3と言うのはDIMMボードの形状を指す様で、TYPE3はDIMMボードがケースに内蔵されて
います。TYPE1とかTYPE3以外に、内部の各ボードのバージョンやファームのバージョンが細
かく存在します。これらがゲームの起動に関係していると思われますが相互関係は良く分かり
ません。入手したchihiro自身のバージョンはchihiro側面に記載されていますが、ゲームごとの
推奨chihiroバージョンが記載された正確な資料が無いのです。ゲームの結線図(ワイアリング
ダイアグラム)にとりあえず簡単な記載があるだけです。それによると、このchihiroは元々ハウ
スオブザデッドⅢだったと思われます。下の結線図はハウスオブザデッドⅢの物ですがゲーム
ボードパーツナンバーが(843-0001D-10)で主催者のchihiroに記載されているのと同じ。なお
クレイジータクシーハイローラーのナンバーは(845-0001D-11)と末尾が異なり、アウトラン2の
同ナンバーは(843-0005D-01)となっています。

チヒロバージョンナンバー


ゲーム基板を入手したら、まずは立ち上がるか確認をしなければなりません。そこでとにかく
あり合わせのシステムで起動して見ます。入手したシステム以外で必要なのはI/Oボードです。
MAOMI用の一般的なI/Oボード(下の写真左の下側のやつ)では起動しない、と聞いた事があ
りますので、大型筐体用I/Oボード(837-13551-92)で起動します。余談ですが、こちらの大型
筐体用I/Oボードは一般的なやつより新品価格が5000円ほど安かった。たしか14800円ぐらい
だったと思う。しかもソニックのシルク印刷付き、イカス!

I/Oボード


大型筐体用I/Oボード(837-13551-92)は元々プラネットハリアーズ用に入手したもの。プラ
ネットハリアーズのコントローラーにはアナログレバーも付いているし、配線もUSBケーブルを
繋ぐだけでOKですからそのまま流用して起動してみます。コントローラー以外の電源ケーブル
やらGDドライブのケーブルはNAOMI GDシステムの物をそのまま拝借。それが下の写真。


あり合わせで起動



早速ソフトをセットして電源をONにすると、普通にローディングを開始、それが終わるとテステ
ィング。ふむ、読み込みは上手くいっている様だ。ただGDドライブの動作音がNAOMIに比べる
とかなりうるさい。こんなものなのか?

クレイジータクシー起動成功


キターッ!ゲームのデモが出ればまず一安心。実のところ、クレイジータクシーハイローラーは
今回使用したI/Oボード(837-13551-92)では無く、本来は(837-13844/-02)を使用します。
I/Oボードが違いますと、各入力端子のナンバーが図面とは一致しません。しかもこのゲームは
一般的なドライブゲームには無い後退(バック)や、ジャンプがありますので、本来指定された
I/Oボード以外を使う場合は、これらを手探りで探す必要があります。しかしジャンプやバックは
デジタル入力。一方、車を操作するアナログ入力は別のコネクタです。こちらはどのI/Oボード
でも同じタイプのコネクタなので、現状でも操作は出来るはず。そこで早速プラネットハリアーズ
のアナログレバーでゲームをプレイして見ましたが・・・。レバーの左右がアクセル。上下がステ
アリング。こりゃひどい。アナログのレンジ調整が出来ていない事もあって、まるでプレイできん。
そこで次はパワードリフト&ワイルドライダーズ用のアナログパネルに接続してみた。最終的に
はこのパネルでプレイするのが目的なのです。結果は・・・。さっきと一緒。ただ、こっちはナゼ
か前に進まん。バックばっか。調べたところパワードリフトのシフトスイッチがたまたまクレイジー
タクシーの前進/後退スイッチに対応していた。う~ん、この調子ではプレイは当分ムリだな。

クレイジータクシー画面


次はアウトラン2を起動します。使用するchihiroのタイプですが、取説のページによりTYPE1
だったりTYPE3だったりします。chihiroの各ボードのバージョンも、クレイジータクシーハイ
ローラー時よりもアップしている感じですが、詳細は不明。かまわずソフトをセットして起動。
こちらも普通にローディング&テスティング。いいぞ!と思っているとヘンな画面が。

アウトラン2起動時の画面


ドライブボードが刺さっていない・・・?ドライブボードがシステムのどの辺にあるのか結線図
で確認すると、エンコーダーからの信号を受け取りモーターを動かしています。このモーター
の所在は良く分からなかったのですが、取説によるとステアリングを制御しているっぽい。更
に「アップライトタイプだとドライブボードテストの項目は無い」との記載が。そこでテストモード
にてキャビネットをスタンダードからアップライトに変更します。

設定変更


そしてテストモードから抜けると・・・。こっちもキターッ!!chihiroのバージョン等はもういいや。
とりあえず立ち上がればOK!なお、アウトラン2のI/Oボードは今回使用した(837-13551-92)
が指定されています。ここで物は試しにクレイジータクシーとアウトラン2を一般的なMAOMI用
I/Oボードで起動してみました。結果はクレイジータクシーはOK、アウトラン2はI/Oボード不一致
でNG。いや~色々あるもんですなあ。I/Oボードの使用可否については、とりあえず繋いでみて
ゲームが無事起動できれば、後は各入力の接続を合致させる事でプレイは可能な様です。

アウトラン2起動成功


ゲームが立ち上がったので、ここでchihiro基板内部をチェックします。ゲームセンターで稼動
していた物ですから掃除は必須。で、chihiroのフタを開けましたが、以外にも汚れは少ない。
中古基板を買う側としては、綺麗なのに当たるのはいい事です。以前は届いた中古基板の梱
包を解いた時点でものすごいタバコの臭いがしてきて、更に基板本体を見るとススで真っ黒、
これが普通でした。そんな基板を見ると「よく稼動したなぁ」と、逆にねぎらいたくなるほど。最
近は以前ほどばっちい基板に当たる事は少なくなりました。これもゲーセン環境の変化か。
さてchihiroですが、これならエアブローでホコリを吹き飛ばすだけでよさそうだ。

チヒロ内部チェック


下の写真がエアブローを行ったところ。うむ、十分綺麗です。ここでchihiroのケース外観も
テープの粘着の様な汚れがありますので、弱いシンナーで粘着を取ります。使うシンナー
が強いとケースのプラまで溶けてきます。

チヒロ内部クリーニング


マザーをクリーニングしたので、この際GDドライブも中を開けてクリーニングする事にします。
実は主催者、GDドライブの中を見るのは初めてだったりします。NAOMIで使用しているGD
ドライブは新品で購入した物なので、中を開ける必要が無かったのです。で、中を確認すると
こちらもホコリ等は少なく、状態は良い様に思います。同様に軽くエアブローしておきます。

GDドライブ内部チェック


ここで思い立ちました。よく”GDドライブは家庭用のドリームキャストのメカと同じ”と聞きます。
そこでドリームキャスト(過去にジャンク品で入手)を持ってきてドライブメカを比べてみます。
すると・・・。同じだ。100%一緒。配線まで一緒。下の写真はそれぞれ並べたところだが、どっ
ちがどっちだか分からん。しいて違いを言えば、ドライブから出ているコードがドリームキャスト
の方がやや長い。ここまで来たら、もうワンステップ。試しにドライブを入れ替えてみよう。

ドリームキャストと比べてみた


ドライブの入れ替えは信号用と思われるフレキケーブルとコネクタ付きコードを挿すだけ。ピン
アサインはもちろん、コネクタのタイプまで同じなので、本当にそのまま挿し替えるだけでOK。
しかし・・・。フレキケーブルは差し込みにくく、かなり手間取った。差し込む為の治工具を工夫
する必要があるかも知れない。また、組み付けの際には下の写真右の円で囲んだ部分をキチ
ンと嵌め込まないとドライブが浮き上がったままケースが合わされる事になるので注意が必要。

GDドライブ載せ換え


ドライブを交換したところで、本当に動くのか試してみます。すると・・・。メッチャ快調。元のは
「ギュイ~ングゴゴゴ・・・」と、ものすごい作動音だったのが「チーカシャカシャ・・・」に変わった。
外観の状態が良い様に見えても、やはり業務使用された物は消耗していると言う事か。ジャン
クのドリキャスからの移植なのにこれほど違うとは。一方、取り外した方はシリコングリスを塗布
してドリキャスにセット。そして起動すると・・・。普通に動作。作動音も「ガガガキュルキュル」と
一般的な動作音。グリスをさしたせいだろうか?ま、両方共良好になったのでいいか。

メンテナンスも終わったので、ここでシステムをまとめます。最もコンパクトになる様に考えます。
GDドライブとDIMMボードを繋ぐケーブルの取り付け方向はどちら向きでもかまいません。しい
て言えば、金属のハウジングの方をDIMMボードに繋げた方がノイズに対して有利になります。
下の写真ではGDドライブの方を金属のハウジングにセット。この方が線の取り回しがいい感じ。

システム配置検討


ここでchihiro用に新たにI/Oボードを購入します。チョイスしたのは(837-14505)と言う物。
また違う型番ですが、こちらは(837-13551-92)のバージョンアップ版。13551が中止品に
なった後、代替として出てきた物。13551のバグ修正品らしいのですが、ソニックのシルク印
刷が無くなったのがちと寂しい。処理ICが表面実装のQFP型になった以外は、基板の外形
とかピン配置等全く同じ。しかもテストモードで確認すると14505なのに13551と表示されます。

I/Oボード購入


パーツも揃いましたので、各パーツを取付けるステンレス板を用意。用意したステンレス板の
幅が少し狭かったので、GDドライブを浮かせて配線をかわします。その結果、GDケーブルは
本来の取付け方向で行く事に決定。下の写真左と中が製作したGDドライブ取り付け台。

システムセット


システムがまとまりましたら、コントローラーを繋ぐハーネスを作ります。まずはピン配列を
テストモード等で当たりながら調査。ピン配列が確定したら、それを元にパワードリフト用の
アナログパネルに繋ぐ為のハーネス結線図を考えます。過去に作ったパネルに後から違う
ゲームを対応させるので、接続先や操作法をどうするか考える必要があります。下の写真
が調べたピン配列(デジタル入力、CN3)画面右端の2、C、P、Wはそれぞれアウトラン2、
クレイジータクシー、プラネットハリアーズ、ワイルドライダースを表しています。

ピン配列チェック


ピン配列が分かりましたので早速接続ハーネスを作ります。まずハンドルはアナログレバー
の左右、アクセルとブレーキはアナログボタンでOKとして、問題はシフト。パワードリフトは単
にON/OFFすればそれがそのままLO/HIに対応するので普通のトグルスイッチで良かった。
現状はこれが付いています。それに対し、クレイジータクシーとアウトラン2はセンターOFF
タイプのON/OFF/ONハネ返り復帰型のトグルスイッチが必要。つまり入力の時のみON、手
を離すとセンターに復帰。更に上と下に接点があると言うタイプです。一番ラクなのは2つの
トグルスイッチを設ける事ですが、ダサい上に使わない片方が邪魔。まあ、クレイジータクシー
とアウトラン2は押した時だけONすればいいので、別にトグルスイッチでなくてもボタンスイッチ
2個でも良いのですが、やはりレバータイプのスイッチでプレイしたい!そこでハネ返り復帰型
トグルスイッチを注文するかとも思ったのですが、こう言うスイッチは実際に手に取るまで操作
感が分からない。操作が軽い分にはいいのですが、中にはものすごく重い物もあり、そうなる
とゲームには不向き。そこでシフトスイッチも自作します。下の写真が自作したシフトスイッチ
をアナログパネルに付けたところ。電気接点がありませんが、フォトインタラプタで対応します。

ハーネスとコントローラー


フォトインタラプタ基板はパワードリフト用の補助回路を付けて製作。ここで動作テストを行い
ましたが、クレイジータクシーのシフト信号(ドライブ、前進)がなぜかONのまま切り替わりま
せん。後に続くパワードリフト用の回路はキチンとHI、LOが切り替わっていますので、フォトイ
ンタラプタからの信号は出ている様です。クレイジータクシーのシフト信号は、フォトインタラプ
タの後にバッファを通してHI/LOを反転させてchihiroに入力しています。前進、後退を入れ替
えても前進のみ反応しません。ここで原因を考えてみます。クレイジータクシーをプレイすると
最初からシフトは前進状態でゲームが始まります。良く分かりませんが前進の入力は優先さ
れている感じがします。ちなみに普通のスイッチでガツンと5VにプルアップするとOFFになり
ます。ううむ。当初の予定ではフォトインタラプタからの信号をインバーターで反転して接続
する予定でしたが、基板スペースとICの節約の為、トランジスタでバッファを作ったのです。
HIとLOのしきい値は抵抗で行っていますからそれが原因なのかも。しかしいまさらICを追加
するとなると、丸ごと作り直しですから出来れば避けたいし、スペースを取りたくないならシン
グルゲートICを使う手もあるのですが、そこまでするなら作り直す方がいいかも。そこで考え
たのが、抵抗の変わりにLEDを使う事です。過去にフォトインタラプタからのプルアップ/ダ
ウンにLEDを使うと安定した事がありました。そこで早速実装して動作確認を行うと、今度は
うまく切り替わりました。LEDを使ったので点灯で動作確認が出来て一石二鳥です。後は
ゲームごとの切替え部分を作って、ようやくコントローラーが完成。なお、クレイジータクシー
のジャンプとアウトラン2のビューチェンジはアナログレバーの上入力で対応させています。

シフトスイッチセット


さてchihiroのソフトは上記の通り2本あります。ソフトの入れ替えを行った時にローディング
があるのは仕方無いのですが、同一のソフトを翌日にプレイする場合でも毎回プログラムの
ローディングがあって効率が悪いです。これはDIMMボードのバックアップバッテリーが切れ
ている為です。バッテリーを交換すればいいのですが、同じ型の物は製造終了品らしいです。
代替品があるかどうかは不明です。そこで良く似たバッテリーを入手して交換してみました。

下の写真左の上側の物が元から付いていたバッテリー。下が今回入手した物。ネット通販で
入手。日本製、パナソニック・・・。との事だったが、確かに中のセルにはMADE IN JAPANと
の記載があるが、外側のパッケージには中国製とあるし、取って付けた様なパナソニックの
印刷が怪しすぎる。ちなみにセル本体にはパナソニックの文字は無い・・・。

バックアップバッテリー入手


ここで初めてオリジナルのバッテリーをバラいて見ます。すると・・・。ヘンな基板が付いてる!
本来リチウムバッテリーは専用に開発された監視回路とセットで使うのが条件になっており、
ヘンな使用法は危険です。しかし現実には融通が利く場合もあり、良く分からないです。今回
入手したバッテリーには元から保護回路が内蔵されているタイプです。オリジナルのバッテリー
の基板が保護も兼ねているとするとおかしな挙動をしそうです。ま、元々バックアップは効きま
せんからダメ元でトライして見ます。まずはバッテリーを接続しなければなりませんが、ソケット
等はありませんのでバッテリー端子に半田付けです。これまた危険な行為です。バッテリー端
子の接続はスポット溶接で行われており、一瞬で終了するからいいのです。セル内部が高温、
沸騰すると危険です。半田付けを行う場合はターボ付き半田鏝を用い、鏝先を思いっきり高温
にします。そして半田付け自体は一瞬で終わらす必要があります。幸いこのバッテリーは半田
の乗りが非常に良く、一瞬で接続が終わりました。

バッテリー配線


バッテリー端子は3本出ています。赤と黒が出力の様ですが、テスターで測っても電圧が出て
いません。青線が制御しているのかも知れません。電圧が出ていないならバックカップも効か
ないでしょう。とりあえずDIMMボードに接続して見ます。すると・・・。DIMMボード内でLEDが
点灯しました。先ほどまでは出ていなかった電圧も出ています。

バックアップ動作確認


そこで喜んでバックアップが効くか試してみると、今まであった長いローディングが省略され
て、即テスティングに!おう、バックアップが効いた!と、その時は思いました。しかし2日後
起動するとバックアップしていません。電池の端子の電圧を測ると取り外した状態で電圧が
出ており、しかも8.2V程度に上がっています。何だかワケが分からんなあ。電圧が上がった
ので内部が壊れたとか?しかしチェックしても異常はありませんし、ゲームも正常です。

そこでバッテリーに付けた基板を一旦取外し、丸一日放置、その後組み付けて再度電圧を
確認すると最初の時と同じ様に電圧が出ていない。バッテリー端子自体の電圧は8.2Vあり
ます。そこで思い直して再度DIMMボードに取付けて見ます。すると今度は内部のLEDがパ
カパカ点滅しています。今までと違う挙動にバックアップがどうなるか試して見ましたが、や
はりバックアップせず。すぐにもう一度トライすると、今度はDIMMボードのLEDが緑色に!?
またまた電源を切ってバックアップを確認しますが、やはりNG。なんかもう、良く分からんの
でバックアップはヤメます。どっち道出来無いならヘンな物は無い方が安心ですからね。

バックアップLEDの動作は分からず


バックアップの件は残念でしたが、クレイジータクシーハイローラーとアウトラン2は無事
起動できました。自作したシフトスイッチは動作が軽い事もあって特にアウトラン2では
使いやすく上々です。



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